ジュゼッペ・シノーポリ氏の職業は?

 多くの職業がAIに取って代われるなか、マルチタレントが唯一生き残る道なのだと言われている。それはどんなイメージだろうか。

 ジュゼッペ・シノーポリ氏。医師(精神医学)となり、精神分析に取り組んだところから、音楽家・指揮者に転身。それがどういう結びつきがあるかというと、曲の演奏は美しい音を出し、美的に捉えるだけでなく、作曲家が表現しようとする人間的な内面をどう読み取るか、作曲家の感性をどう表現するかという側面に精神分析が大きく役に立つというのだ。

 氏は次第にエジプト考古学の研究に興味を持ち、没頭する。発掘された古代エジプト文字から、もう1つの世界を見出す。エジプト文字をいろんな形で解釈できるという。死とは何か。それは失うものでなく、人間は何か新しい領域に入っていくことを意味する。宗教とはまた別の次元で、新たな解釈をする。

 さらに、料理家としての姿もまた魅力的。料理から、あるいは料理にどんな哲学的、芸術的、美的な解釈を引き出したり、取り入れたりしたのだろうか……。最期、指揮台上で彼は心筋梗塞に襲われ、そのまま死す。54歳の生涯を閉じる。

 「なんとか屋」という職業の定義を超え、複数の分野に入り込んでそこから複合的に何か独自の価値を創り出す。職業の分類を無意味化することでもあり、職業という基盤でなくそこから生み出された価値に着目する。産業の再定義化の時代であり、人間や職業の再定義も必要だ。

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