「ジン横丁」、時代の変革に飲み込まれた人たちの飲み方

 飲み放題500円。はっきり言って、この予算でしか飲めない人は、酒を飲む身分ではない。断酒したほうがいい。

 日本は、「ジン横丁」に描かれた18世紀のイギリスに酷似している。当時、産業革命の嵐が吹き荒れるなか、「囲い込み」政策で土地を失った流民が、荒廃した貧民街で安酒のジンをあおり、正体を失う。

 絶望の中で酒からつかの間の安寧と快楽を見出し、そして翌朝は再び現実の地獄に陥り、またもや夕方に飲みたくなる。その悪循環。

『ビール通りとジン横丁』(1751年)

 日本の場合、居酒屋は適正原価を諦めたところで、店舗の賃貸料という固定費の削減に乗り出すしかない。アルコールの移動販売(屋台やキッチンカー、酒カー)といった新業態が生まれるかもしれない。そこで、「路上飲み」が本格化し、本物の「ジン横丁」が出現する。

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