コスト削減は、企業の宿命だ。しかし、日系企業によく見られる画一的な削減手法には、疑問を投げつけたくなる。特に日本本社主導のコスト削減、現地の情況は十分に把握しているのか?「○○費一律△△%カット」というやり方はいかがなものか?
ある費用を削除する前に、十分な検討が必要だろう。その費用は、役に立っているか?利益につながっているのか?その費用は市場価格に照らして最安値になっているか?その費用をカットした場合のマイナス効果はどうなのか?カットした場合の代替手段はあるのか?従業員のモチベーションの低下になるのか?・・・
このような検証をなくして、一斉号令でやったら、当然従業員の不安が募るし、不満も蓄積していくだろう。結果的に、コスト削減は、帳面上の効果があっても、企業の経営体質の改善につながらない。食事抜きのダイエットのように、痩せることができても、筋肉が付かないし、内臓機能の低下さえ懸念される。
「コスト・カット」は手段、「Cost-Efficiency」、「費用効果性」の実現が目的であることを忘れるべきではない。
親がどんなに生活費を切り詰めても、ピアノ天才少年のレッスン料は絶対に削らない。このような親が素晴らしい。
コスト削減は、従業員に納得してもらったうえでやらなければならない。カットすべきものはカットし、増額すべきものは増額し、「○○費」の一律減額はおかしいだろう。戦略目標があって、将来を見据えたうえでのコスト削減は欠かせない。何でも一律というのが、馬鹿げた話だ。
<終わり>