金融制裁 vs エネルギー制裁、ルーブル高が意味すること

 空前のルーブル高。ルーブルは、ウクライナ戦前水準に戻った。ロシアの奇跡といっていい。米国はルーブル高が一時的なものだといっているが、時間が検証してくれるだろう。

 エネルギーをもつ資源国を制裁するとはずいぶん大胆なことだ。アメリカの正義の論理で欧州も日本も翻弄されている。天然ガスの輸出。ロシアはルーブルしか受け取らないといって、これに対してNOといおうとするEUの共同拒否決議は、ハンガリーの1票で否決された。ドイツやフランスも動揺し始めている。

 米欧は一枚岩ではない。分断は時間の問題。老獪なプーチンは西側諸国の弱点を知り尽くしている。インフレが過熱すれば、国民の反発で民主主義で選ばれた政権が持たない。経済制裁は、エネルギーと食糧の自給自足ができる軍事大国に何の意味があるのか。

 ロシアをドル基軸通貨の枠組みから排除し、米欧がやっているのは金融制裁。これに対してロシアは、エネルギー制裁を打ち出す。この対抗はある構図を見せてくれた。エネルギーそれ自体が一種のハード・カレンシーである。それがドルに匹敵し、もしやドルよりも強いかもしれない。

 政治には善悪なし。利益と力のみ。5つの利益がある。

 1. 政治家の個益
 2. 所属党や派閥の党益
 3. 国益
 4. 同盟国・地域共同体益
 5. 世界益

 まず5、4あたりは誰も関心がない。ウクライナ戦争を見て一目瞭然。一人ひとりの政治家の利益所在を解析すれば、ほぼ全ての事象が説明できる。

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