「開かれた社会」と「閉ざされた社会」、独裁世界の始まり

 「開かれた社会」「閉ざされた社会」

 ジョージ・ソロス氏は5月24日、ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会で、ロシアによるウクライナへの侵攻は第三次世界大戦の始まりとなる可能性を指摘し、文明の存続のためにプーチン大統領をいち早く倒さなければならないと語った。

 「開かれた社会」と「閉ざされた社会」という「二元論」は、全体主体の典型だ。前提が成立しないからだ。社会制度は複雑で、どの国も開かれたり閉ざされたり、歴史的時期や内外の情勢によって「開閉」の部分や度合いを調整する。

 そうしたグラデーション(多様性)の実情を、二元論で単純化するのは、全体主義・共産主義者の手口。片方が他方を撲滅する「階級闘争」は、マルクスから伝承された理念である。

 「開かれた社会」が他の「閉ざされた社会」を潰したところ、1つの、唯一の巨大「閉ざされた社会」、つまりいわゆる「世界政府」の造成を目指すと。それこそが民主主義の「多様性」価値を根底から覆す自己矛盾である。

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