「中国がいなければ、ドイツはさらに貧しくなるだろう」(2022年10月30日付け、独ドイチュラントラジオ)
ドイツ経団連DIHK理事長マルティン・ヴァンスレーベン(Martin Wansleben)氏は今週のインタビューで「脱中国は、我々の繁栄の喪失につながる」と明言し、米国に逆らって訪中するオラフ・ショルツ独首相を支持した。
日本はどうだろう。脱中国で貧しくならないのか?あるいは、貧しくなっても脱中国する用意ができているのか?それともこの問いから逃げて、「口先は反中、財布は親中」の自己欺瞞を続けるのか?現行不一致は、日本人の美徳なのだろうか?
民主主義の価値観は大事だが、まず生活水準を維持する程度の保証がなければ、やっていられない。さらにひどいことに、気が付いたら、米国は民主主義の大義名分を担いでまず西側陣営の仲間から搾取しているのではないか。つまり民主主義はすでに経済的利益の略奪、搾取のツールに成り下がったのだ。
どっちに転んでも経済的利益であるから、まず経済的利益を考えるのが賢明であろう。そうした意味で、ショルツ独首相は悟ったようだ。その次に便乗するのはマクロン仏大統領ではないかと。欧州大国は臨界点を超えれば、中国に転向するだろう。いよいよその臨界点に近づいてきたように思える。
習近平の続投(さらに2~3期もあり得る)が決まった以上、早い段階で転向したほうが有利に決まっている。ショルツ首相もそれをよく知っているから、国内の反対を押し切って早期訪中に踏み切った。転向と言っても、正確に言うと、「並行」である。ゼロサムゲームだけはやめようと。
日本はアメリカの手駒だ。ただ捨て駒にならないように手を打っておかなければならない。サラリーマンで言うと、会社から使い捨てされることを前提に、逃げ道を用意しておくことだ。