万博雑談(4)~公平ですか?上海戸籍者と非上海戸籍者の垣根

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 私も上海市民。手元に届けられた上海市民向けの万博無料入場券と200元分の交通カードで、自分も上海市民であることを実感させられた。

 外国人も例外なく、1世帯につき1セットの割合で配布された。今回は、万博に対する上海市民の奉仕への感謝を込めての無料券贈呈だというが、では、非上海戸籍者は貢献していないかというと、決してそうではないはずだ。上海在住でも、非「常住戸口」の中国人はもらえないのが、いささか不公平に思える。

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 人事労務をやっていると、同一会社の従業員の間でも処遇の不公平を訴えるケースがよく見受けられる。同期入社で同じ仕事だというのに、なぜ、○さんの給料が高いのか・・・などなど。すると、総経理はその理由を説明するのに苦労する。

 中国では、不公平なことはたくさんある。戸籍制度は、国民の差別待遇の代表格である。農村戸籍者は企業で働く場合多くの差別を受ける。特に社会保険面での差別があまりにも大きい。戸籍管理条例等の法令が都市と農村の垣根を作り、同じ中国国民を差別待遇している。これは公平といえるのだろうか。

 ここ数年、毎年数千万人単位の人が農村から都市へ流入している。流動人口は1億人を上回っているのではないだろうか。しかしながら、大都市での戸籍の壁は依然として厚い。上海万博自身も大勢の非上海戸籍者の貢献をなくして成り立たないというのに、なぜ、上海市民に送られる無料券は彼たちの手に届かないのだろうか。こんな不公平があっていいものか。

 手元の万博券セットには、「上海市民宛の感謝状」が入っている。上海に根を下ろして上海万博のために、汗水たらして働いて貢献してきた非上海戸籍者の目に触れることさえない。彼たちの気持ちを考えたことはあるのだろうか。

 私は万博券を、非上海戸籍の従業員にプレゼントした。

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