万博雑談(5)~万博閉幕向けて考える中国と世界の普遍的価値

<前回>

 ようやく、祭りが終わろうとしている。史上最高の入場者数達成で、上海万博はようやく終わろうとしている。

 祭りやらにぎやかなところがとても苦手な私は、上海に住んでいながらも、とうとう一度も万博会場に足を運ぶことはなかった。もちろん残った2週間にも、行く気がまったくない。

 オリンピックのメダル数や万博の入場者数以外に、このような大きなイベントで中国国民に何が残ったのだろうか。オリンピックや万博の本当の意義はどこにあったのだろうか。いろいろと考えさせられる。

 いろいろな国にはいろいろな価値観がある。互いの価値観を尊重し合わなければならない。さまざまな価値観はどこかで重なっているはずである。それは、「世界の普遍的価値」といい、コモンセンス的な部分になるはずである。

 「民主、法制、自由、人権、平等、博愛、これらは資本主義独自のものではない。全世界が長い歴史の過程中に共通して形成した文明の成果であり、人類が求める共通の価値観でもある」

 2007年3月16日、温家宝首相が第十回全人代五次会議閉幕後の記者発表会での発言である。この発言は素晴らしい。人類共通の価値観、世界の普遍的価値を語る温首相はかっこ良すぎる。万博の入場者数よりもオリンピックのメダル数よりも、温首相のこの発言で、中国の大国風格は世界に向けてアピールされたと思う。

 世界的な大イベントでの国威発揚も必要だ。経済力も必要だ。でも、真の意味で世界を征服するものとは何か。中国はいま一生懸命に考えているだろう。

 まだまだ、前途多難だが、温首相が描いてくれた大国・中国のビジョンはいつか実現する日は必ずやってくると私は信じたい。

<終わり>

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