3月18日(月)、日本出張中に運転免許証の更新。5年に1度の手続(前回記事2019年11月16日『運転免許証更新、日本は毎年9世紀の時間を無駄にしている』)、毎回毎回怒りを感じずにはいられない。
まずは、1番窓口で免許証更新申請書を作成。以前は人間がコピーして申請書を出力するが、今は機械の自動読取り式と申請書の自動出力に変わった。一見自動化されたように見えても、そもそも申請書が必要だろうか。申請書作成のためにこれだけの自動化装置を投資する価値はあったのだろうか。
次は、2番窓口に転戦。免許証更新手数料を支払って、印紙を貼付。これは従来通り窓口で人間が対応している。そもそも印紙というものは電子化できないのか。海外では政府関係の印紙は、ほぼ電子スタンプが使われている。さらに言えば、印紙支払いは、1番窓口の申請書と機械で一括処理してしまえばよかったのではないか。
省力化・コスト削減で、どのだけ国民の血税が節約できたのだろうか。さらに、視力検査ほどいい加減なものはない。私は試しに「見えない」と言ったら、係員は「それでは先へ進めません」と冷たい表情。要するに何でもいいから「左右上下」を言えということだ。適当に言ってみたが、「はい、どうぞ、次へ」と見事にパス。
マレーシアでは、運転免許証の更新はいたって簡単。一か所の窓口ですべての申請手続と支払いが完結する。申請書は不要。希望の更新年数(年数で更新手数料が決まる)を口頭で伝え、銀行カードでピッピッとパネルタッチして支払い完了。あとは数分待てば、受領窓口で新免許証を受け取って手続終了。いつ行っても、30分とかからない。もちろん講習は不要。
日本国の運転免許証保有者人数は8200万人規模、平均4年更新で計算すると、毎年2000万人がこの手続のために、8000万時間を費やしていることになる。8000万時間とは9100年、9世紀に相当する。
日本の時間当たり労働生産性は、OECD 加盟38か国中30位(2023年データ)。順位でみるとデータが取得可能な1970 年以降、最も低い順位になっている。生産性に関してほぼ無感覚的なマヒ状態に陥っているこの国の実態が映し出されている。免許証更新手続の現状存続が必要だとしても、人為的に複雑化された手続は、効率化すれば、最低でも3分の2以上の無駄が削減できる。
免許証更新はすでに一大産業化している以上、既得権益層は改革の議論すら許さず、延々と国民の血税を食い潰している。日本の衰退・没落は、必然的帰結であろう。