北京ダックと田うなぎ、同時に食べられる虹橋のお店

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 無性に北京ダックが食べたい。そして、田うなぎももう1回食べたい。帰国便の出発までは1食(昼食)の時間しかない。北京料理と上海料理を同時に食べられるレストランを探していたら、虹橋の南豊城にある「漢舎」にたどり着く。ホテルから徒歩で行けると。

 北京ダックと田うなぎの両方を出してくれるレストランとは、何料理か。中途半端だったら最悪だ。行ってみると、まともなレストランだった。北京ダックの専門店ではないが、ガラス張りのオープンキッチンでダックを窯で焼いているところも見せてくれる。とりあえず、安心。

 北京ダックが食べたい理由は、マレーシアであまり食べられないからだ。マレーシアの中華料理はおいしいが、広東や福建、四川、湖南といった南方・内陸系がほとんどで、なぜか北京ダックだけはなかなか見つからない。食べられないから余計に食べたくなる。

 北京ダックと言えば、使われる鴨は脂が多く乗っているほど美味しい。脂っぽいから敬遠されがちだが、鴨の脂分は人体に吸収されないという特性を持っているらしい。しかし、この店の北京ダックはあまり脂っぽくない。脂というイメージがよくないから、意図的にそうしているかどうかは知らないが、少々不完全燃焼気味。

 一方、田うなぎはさすがに地元料理なだけあって本格的だ。濃厚芳醇な紅焼(醤油ソース)スタイルは貫禄満点、文句のつけようがない。ただ北京ダックに続く田うなぎという食べ合わせは、味覚の切り替えが悪く、私の考慮不足が問題だった。かと言って、ここで白いご飯を入れるとヘビーすぎるし…。

 咄嗟にひらめいたのは、食べ残したパンを活用することだ。北京ダックと一緒に供された薄い皮のパンがまだ残っていたので、田うなぎをパンでに包んで食べればいいのではないかと。早速試してみるが、抜群に相性の良いことに驚いた。何事も発想が大切だ。

 ご馳走様でした。

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