ペナンの屋台では、日本語ペラペラなオーナー、「変なおじさん」に出会った。華人によくあるような癖がなく、正真正銘の日本語である。どこの学校で習ったのかと聞いたら、日本人と喋っている間に自然に覚えたという。ただ学校で勉強していないため、書けない、読めない、文法もわからないという。
日本人と商売していたのだった。ペナン港に水揚げされたマグロを大量買い付けに日本の業者が多くやってきた時期があった。おじさんはマグロの商売をしながら、夜になると日本人業者を屋台に連れてきて、飲み食いをさせ、そうしているうちに自然に日本語を覚えたというのだ。
今は、買い付け業者だけでなく、屋台街から日本人観光客も姿を消したと、おじさんはせっかく覚えた日本語も使い道がなくなって寂しそうだった。なぜ、日本人が来なくなったかというと、おじさんは「昔ほどのお金持ちじゃなくなった」と正直だった。と思いきや、「うちは安くて美味しいから、たくさん食べてくださいね」と営業攻勢を強める。
そうか。日本人は貧乏人の代名詞になったのか。