中国を捨てよう、さもなければ捨てられる

 麻生太郎副総理兼財務・金融相が来年1月2日から5日までの日程でミャンマーを訪問する。

 自民党・安倍新内閣が発足してわずか1週間後の訪問は何を意味するか。ミャンマーの民主化や日本企業の進出を支援する狙いはもちろんのこと、ASEAN諸国との連携強化に乗り出す姿勢が鮮明になったといえる。

 日中関係は、日中関係だけで見てはならない。日中関係は難航し、とても難しい問題になっている。難しい問題は、とりあえず解決しないで、放置する、というのも一つの選択肢だ。いや、それだけでなく、もしやその解決の糸口が外部にあるのかもしれない。

 日中の相互依存度が非常に高い。だから日中関係が悪くなると、お互いに大変だ。そこで、解決の方法は、三つある――。一つ、当事者双方が話し合い・交渉で解決する。もう一つ、戦争で白黒をつける。最後に、相互の依存度を引き下げる。コンサルタントとしての私からみれば、最後の選択肢がもっとも平和的で取引コストの少ない選択肢になる。

 ずばり、日本の中国に対する依存度を下げることだ。「チャイナ・プラス・ワン」の原点でもある。中国ビジネスに携わる人間として、私個人的あるいは自社利益レベルでは、決して良い話ではない。けれど、日本の国益や日本企業の長期的利益レベルで広い視野でみれば、納得のいく話であって、むしろ微力ながらも全力を挙げて後押ししたい。

 私は以前、ブログで書いたことがある――。「日本を捨てよう、さもなければ捨てられる」。いまは、一つ追加しよう、「中国を捨てよう、さもなければ捨てられる」

 「捨てる」という意味合いは多元化に捉えることができる。たとえば、私がマレーシア移住セミナーで初めて打ち出した「三つの拠り所」――。「心の拠り所は日本、身の拠り所はマレーシア、お金の拠り所は香港」。これと同じように、企業も複数の「拠り所」を設ける必要があるだろう。

 最近の中国メディアをみると、基本的に強い口調を維持しながらも、微妙に「中日間はもっと対話すべきだ」という姿勢に転換しつつあることが分かる。そこで、よかったよかったと、素直に対話に応じたらダメで、とりあえず一般論としての対話を続けながらも、「中国依存度低下」にせっせと力を入れるべきだろう。

 なぜなら、依存度低下が交渉をより有利に進めるための最有力なカードになるからだ。カードをたくさん持っていたら、そもそも交渉も不要になる。究極の交渉は、交渉しないことだ。

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