日本文化の海外発信、三つの形態と四つのパターン

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 昨日の記事「和僑VS華僑、どこが違うのか?」を私のフェイスブックにも同時投稿したところ、和僑会創設者・和僑総会会長筒井修氏からコメントをいただいた――。

 「コメントはよく書かれています。確かに華僑と和僑とでは設立動機、歴史は全く異なりますが海外で起業する日本人が助け合うこと、素晴らしい日本の文化を海外に伝えていく役割もあるのでは無いかと思っています。これから、先ず私達が世界の日本人ネットワークを作っていくつもりです。年月をかけて…」

 「日本文化の海外への発信」と「日本人の助け合い」の二点を挙げられた。私は2~3回に分けてこの二点を取り上げたいと思う。まず、今日は「日本文化の海外発信」について。企業の海外事業ベースでいう「日本文化の発信」は、概ね三つの形態がある。

 形態その一、文化発信を目的とするボランティア活動・非営利事業。これは在外公館や各種NPO等機関・団体・組織の活動範疇に属し、性質的に別格扱いとされなければならないので、ここでは外す。

 形態その二、文化発信を主たる目的とする事業。いわゆる営利目的の文化発信。これも限られた業種や企業の話になるので、とりあえず対象から一旦外す。

 形態その三、文化発信を付帯的機能、あるいは事業(本業、主たる業務)の副次的産物とするビジネス。筒井会長の「・・・役割もある」の「も」という表現からもおそらくこの形態を指しているのではないかと推測する。これは何も「和僑」に限った話ではない、むしろ広義的日系企業次元で一般論として取り上げたい。

 この「付帯的機能・副次的産物」の成就を、経営結果的にさらに四つのパターンに分けられる――。

 パターンその一、「ダブル・サクセス」。本業も成功する一方、「付帯的機能・福次的産物」も成就される。これはもう最高の結果だ。

 パターンその二、「主勝従敗型シングル・サクセス」。本業は成功するが、「付帯的機能・福次的産物」は成就されない。これは社会貢献面ではやや不足気味だが、事業主にとってみればとりあえず「吉」といえるだろうから、まあよしとしよう。いや、本業が成功すれば、とりあえず継続して雇用創出や納税などで地域社会に貢献するのだから、大いに肯定すべきであろう。

 パターンその三、「主敗従勝型シングル・サクセス」。本業は失敗したものの、「付帯的機能・福次的産物」は成就される。妥当かどうか、昔の「ヤオハン」を思い出さずにいられない。上海から撤退したものの、早い段階の進出で上海市民に日本ブランドのインパクトを強く与え、まさに日本文化の発信という意味では事実上功績を残したといってよかろう。

 パターンその四、「ダブル失敗」。本業が失敗し、「付帯的機能・福次的産物」も成就されない。

 「日本文化の海外発信」は素晴らしいことである。マクロ的に社会に対する一種のコミットメントと貢献である。ただ、企業単位というミクロ次元、つまり事業オーナーや経営者にとってみれば、そうシンプルな単一論ではない。四つのパターンをどう捉えるかは、十人十色、経営者の多様な価値観に委ねたい。

 「事業は失敗したが、社会的貢献を成し遂げた」というのも立派な経営者だ。ただ、「事業の失敗」という事実は決して「社会貢献」によって抹殺されない。両者のバリュー、勘定的な相殺ができるかどうか、これもそれぞれの経営者次第であろう。

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