先日、「Grandtag投資者メーリングリスト」の立ち上げ、投資アドバイザーの姿勢問題について記事を投稿した。投資の話について、これから数回分けて私の所見を述べ、関心をもつ皆さんと情報を共有したい。
金融投資商品には、リスクが伴う。だが、リスクより怖いリスクがある。それは、消費者(購入者・投資者)がリスクを知らないこと、知らされないことである。
もし、そこまでリスクが大きいことを知っていたら、投資しなかった、こんな金融商品を購入しなかったという消費者はいないか。たくさんいるのではないだろうか。つまり、特定金融商品のリスクの大きさが消費者の購入意思決定、購入行為そのものに直接な影響を与えるからだ。
肝心なポイントが2つある――。
① 消費者がどのくらいのリスクまで耐えられるのか?
② 特定の金融投資商品の最大リスクはどのくらいか?
この2つのポイントを完全にクリアし、消費者は、これくらいのリスクなら問題ないと、自らの意思決定で投資商品を購入した場合、消費者側は購入行為に対し、自己責任をもつことになる。
ただ、投資商品は「購入」と「売却」という2つの意思決定がある。購入後の投資アドバイザー側は、持続的な適正情報の提供によって、消費者の売却行為(保有か売却か、いつ売却するか)に影響を与え、これに大きな責任をもつことになる。
私は金融投資アドバイザーではなく、経営コンサルタントである。だが、リスクの説明義務はある意味で共通している。特に大きな案件依頼を受ける際に、必ず事前に失敗リスクの説明を行う。同類案件の失敗確率、失敗事例のパターン、失敗の原因、失敗防止の先行予防措置、万が一失敗した場合の対処・損害最小化措置・代替プラン提示の可能性・・・などなど。一通り説明したうえで、それでも、GOという意思決定をした顧客企業には、リスク情報を動態的に随時提供しながら、案件を進めていくわけである。
それは特定の大口案件顧客だけでなく、一般公開セミナーでも、私は私自身の失敗事例を公開し、企業と情報を共有している。立花のコンサルも失敗があるのか、それはもちろんある。失敗があるから、じゃ、立花に頼まないほうがいいという企業があれば、それはしかたのないことだ。世の中、本当のことを言って損することだってある。覚悟の上だ。
金融投資となると、そのリスクがもっと大きい。なぜなら、コンサル案件は一企業内に限られたもので、企業経営者とコンサルタントがある程度状況をコントロールできるものの、金融投資商品のリスク表面化について、消費者も投資アドバイザーも物理的にコントロールできないものがほとんどであるからだ。
このようなリスクの実態を、まず、プロの投資アドバイザーが素人の消費者にきちんと告知したのか。これが一番目の問題である。情報格差が非常に大きい。この情報格差を最大限に埋め、消費者の真正なる購入意思決定を導くのが、投資アドバイザーの最重要な役割の一つである。
ただ、リスクを知った消費者の中から、自分のリスク受容限界を超えたと判断し、投資商品の購入を見合わせる者も出てくるだろう。これは、投資商品の販売仲介手数料を主たる収入源とする投資アドバイザーにとって、間違いなく損になる。これは大きな利益相反である。すべての投資アドバイザーが、自分が損して(利益減少)でも本当のことを言う、それができるとは限らない。
投資のリスクとは何か。投資商品それ自体が抱えるリスク以前に、まず投資アドバイザー等の業者の投資勧誘に大きなリスクが潜在しているのである。
次回は、金融投資商品のリスク告知の実態、消費者の自己防衛策に触れ、掘り下げたい。