日本の農作物は安全か、神話崩壊に伴う自己防衛とは?

 日本の農作物は高品質だ。そこで質問。高品質=安全・安心であろうか。

 これと対比的に、中国産の場合、冷凍ほうれん草の残留農薬と毒ギョーザ事件から、危ないという通説が定着する一方、ますます日本国産農作物が脚光を浴びるようになった。

160617-1541-home-%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%a1%e3%83%ad%e3%83%b3%e9%87%8e%e8%8f%9cマレー半島キャメロン高原から仕入れた野菜、我が家の食卓に上る

 「田中さんが作った芋」「鈴木さん農園から直送されたトマト」。居酒屋のメニューまで産地直送の表示だけでなく、農家の方々の笑顔写真まで併載されている。

 いまや、国産農作物の安全神話を覆す情報も数多く出てきている。何も原発事故に特定した話ではなく、大地震前からすでに情報が出回り始めたのだった。

 日本の野菜の多くからは、本来含まれるはずの栄養素が激減している。形はきれいに整っていても、中身はからっぽの農産物も多い。農業研究者で「野菜が壊れる」(集英社新書)著者の新留勝行氏が語っているのは、「日本食品標準成分表」の調査に照らして栄養価の減少である(以下一部、Niftyニュースから抜粋引用)

 例えば100g当たりに含まれるビタミンCは、この50年の間にキャベツでは半減、にんじんや春菊で3分の1に、ほうれん草ではなんと4分の1に激減しているという。ミネラルや鉄分の減り方はもっと激しく、ほうれん草も春菊も、今や50年間前のわずか1割ほどしか含まれていない。

 なぜこうなったのか。第一の理由は、土が変わったこと。栄養価が減った一方、有害な成分は増えている。化学肥料と農薬の使いすぎから来ていると考えられる。

 危険性の認識も日本は欧米に比べて非常に甘い。1日摂取許容量の基準値さえない。発ガン性物質含有明記の規定もない。中国よりも実は耕地面積あたりの農薬使用量で世界第1位なのは、ほかならぬ日本である。

 さらに、ニセモノ有機野菜の問題、重金属汚染の問題、健康ブームに起因する添加物の増加問題、加工野菜の切り口変色防止・酸化防止剤添加問題・・・などなど。

 誤解なきようお願いしたい。私は日本の農家を批判するつもりは毛頭ない。逆にわれわれ消費者側に反省すべき点は多くあるように思える。粒ぞろいの農作物を求めたり、虫食いを嫌ったり、そういう消費者ニーズは歪んでいないか。さらに、農協の問題、農薬メーカーや商社の問題・・・、問題は錯綜している。

 食の安全問題が語られて久しい。ガン大国日本では、殊に食品の発ガン性物質含有に対して敏感にならざるを得ない。このようなセンシティブな情報の開示と検証、国や行政が取り込むべきだと言うのが簡単だが、雑多な利権が絡んでいる以上、実際はそう容易ではない。

 では、自己防衛策とは?現実的にそんな選択肢はほとんどない。

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