解雇断行の善、優秀な従業員に十分な賃金原資を

 連日、上海で「解雇・リストラ」セミナー。これは、人事コンサルタントにとって「永遠のテーマ」だ。日々の相談でも、解雇関係が多い。

 解雇ってそんな悪いものだろうかと時々思ったりする。実力があれば、解雇されても、どこか就職できるはずだろう。もしや現職より良い条件で就職できるかもしれないし、人生の転機になるかもしれない。

 日本の場合、独自の終身雇用制度が取られているため、解雇というのは、社会通念上「善」として認知されないのが一般的だ。ただそれは日本の常識であって、そのまま海外に持ち出しても意味がない。

 海外の雇用では、慣習的に終身という概念はまったく定着していない。故に、「賃金カーブ」という標準生涯想定はむしろ非常識の類に入るものだ。

 解雇に関してもこの延長線上で、善悪の分別という基準を持ち出すべきではない。どちらかというと、優秀な従業員たちに十分な賃金原資を確保するためにも、まず不適格者の排除に企業は取り組むべきであろう。

 適正な解雇は、悪でなく、善なのだ。

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