計算と調査の方法、損しないためのアジア不動産投資

<前回>

 アジアでの不動産投資について、収益をどう評価するか。

 まず、利回りを評価する。とりあえず、「表面利回り=年間収入÷購入価格」。たとえば、ベトナムのホーチミン市で15万ドルでコンドミニアム1室を購入したとしよう。家賃収入は、1,200ドル×12ヶ月=14,400ドル(年間収入)。14,400ドル÷150,000ドル=9.6%。表面利回りは、9.6%になる。

 次に、家賃収入から税金や保険料、賃貸管理費、修繕積立金、不動産会社に支払う費用などを引いた額を購入価格で割って、実質利回りを算出する、「実質利回り=(年間収入-年間支出)÷購入価格」。すると、上記ケースの実質利回りは概ね8%台になり、銀行預金金利と比べてちょっと高いか、あるいはとんとんといったところだ。

 つまり、インカムゲインのメリットがあまりない。そこでキャピタルゲインに目を向け、売却益は今後数年にわたってどれだけ期待できるかを評価し、最終的に投資の是非を判断するわけだ。

 マレーシアの場合はどうだろう。たとえば、KLCCで100万リンギットの高級コンドミニアムを購入し、月5,000リンギットで賃貸に出すとしよう。すると、表面利回り=(5,000リンギット×12ヶ月)÷1,000,000リンギット=6%。さらに諸費用を引いてみると、実質利回りは4~5%台になる。これも銀行預金金利と比べてさほどうまみがない。

 上記の計算にはさらにもう1つ大きな変動要因が絡んでいる。賃貸に出すと言っても、果たして借り手が付くかだ。不動産市場の実需、その需要が供給を下回っていれば、借り手を引き留めるために家賃をどんどん安くするしかない。すると、上記の利回りがさらに悪化する。需要と供給の状況を確認するために、地域別の入居率を調べないといけない。

 自分が投資しようとしている物件にどのような人(消費者層)が住むかということだ。所在国の平均所得と各所得層の平均住宅費といったデータを集め試算したところで、ようやく状況が見えてくる。ここからは、私の持論になる(参照:十の鉄則!アジアでの失敗しない不動産投資法とは?)。

 「アジア新興市場・国の急成長」「都心一等地」などといった謳い文句は決して嘘ではない。ただ、これらの事実が不動産投資の成功を約束してくれるのか?投資者としては自分で吟味し、緻密な調査で本質をえぐり出すしかないだろう。

<終わり>

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