自宅散髪体験実録、コロナ時代の「非接触型・リモート型・自給型」経済

 バリカンや散髪はさみ、ヘアカットセットをネット通販で購入した。私が住むマレーシアでは、5月4日からロックダウン(都市封鎖)が一部解除され、「条件付きロックダウン」に変わったが、理容・美容室は相変わらず営業禁止リストに入っている。さすがに2か月も散髪しないと、限界になる。

 そこで、マイホーム・ヘアサロンの「開業」を決定。道具一式を早速購入し、妻がYouTubeで散髪スキルを教える動画をいくつか引っ張り出して、自己啓発型の特訓に取り組んだ。ついに、「刑執行」その日がやってきた。緊張で体を小さく震わせる私の後頭部に彼女がいきなりバリカンの刃を向けた。ギーギーというバリカンの動作音とともに、髪の毛の塊がバサバサと足元に落ちてくる。

 おいおい、櫛を当てていない。生え際にジョリジョリと直接バリカンを入れているのではないか。ちょっとちょっと、丸坊主にする気か。と、時すでに遅し。後頭部はかなりいびつな状態になっていた。今さら言っても仕方ない。気を取り直して頭の両サイドだけは失敗したくないので、私がスマホを出して自撮りモードにし、モニタリングを始める。

 30分後、何とか無事に「刑執行」が終了。全体的に、意外にもよく出来上っているのではないか。思ったよりも上出来だ。人間は体験的学習で上達するものだ。散髪、素人でもなんとかこなせることがこれで証明された。どうだろう。コロナが収まってから理容室へ行くのを止めようかな。せっかく道具一式も買ったことだし。と、理容師がこれを知ったら悲しくなるだろう。我が家のような家庭が1軒2軒だけならまだしも……。

 誰もが予想していなかった世界だ。まさか自宅で散髪するとは夢にも思っていなかった。コロナがもたらした「非接触型経済」から、テレワークを代表とする「リモート型経済」や、このようなサービス業の自己完結化した「自給型経済」が派生し、社会が変わった。そして、変わってしまったこの社会は元の状態に戻るのだろうか。完全に戻ることはもうあり得ないだろう。

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