マレーシアや台湾のコロナ防疫成功体験、再現よりも学び方

 連日、メディアに寄稿したマレーシア関係記事は、上位ランキングで読まれている(8月30日午前現在)。決してメジャーではないマレーシアは、こんなに日本国内で興味をもたれるとは、少々驚く。

 マレーシア政府は先日、8月31日を期限とするコロナ回復期活動制限令(RMCO=Recovery Movement Control Order)の12月31日までの延長を発表した。私は少なくとも年内にマレーシアから出られず、海外出張ができなくなった。こうした厳しく制限された環境に置かれた私は、いかに継続して顧客企業に価値を出していくか。まさに経営コンサルタントとしてまず自分自身に答えを出さねばならない問いである。

 マレーシアは小さな国ではあるが、世界諸国と同じようにコロナから大きな被害を受け、また同じように懸命に奮闘している。そこで様々な成功や失敗、様々な試行錯誤を繰り返し、様々な実体験からメカニズムや教訓を引き出すことができる。所在国や地域に関係なく、共通の法則は存在しているはずだ。私はこれらの法則を抽出して企業経営者の皆様に学習の材料として提供することができる。

 マレーシアは、コロナ禍を上手く乗り切っている49か国ランキングの中に、なんと、台湾に次ぐ2位という好成績をたたき出している(ニッセイ基礎研究所調査)。最近台湾はなぜ防疫に成功したのかという議論が日本で盛んに繰り広げられた。それがとても重要な学習であるけれど、1つ私が考えているのは、「日本はなぜうまく台湾に学べなかったのか」という問題である。

 他者の成功体験の再現は決して容易ではないからだ。自分自身が他者とあちこち異なるからだ。これらの阻害要因を抽出し、克服し、他者の成功体験を再現するよりも、自分だけの成功モデルを構築していく。われわれ日本人はきっとそれができると私が信じている。決して単なる真似ではない。

 マレーシアの成功と台湾の成功も様々な異同がある。これらの異同を丁寧に分析し、メカニズムをえぐり出し、本質的な部分からそれこそわれわれ日本人独自の成功方程式、「日本モデル」を構築していくということだ。しかも、これは単なるコロナという災厄を克服するためだけのモデルでなく、今後日本社会の再生・再建、そして日本人の生き方改革における原理原則につなげることができればと念じてやまない。

 という思いを抱えながら、私はマレーシア国内の視察取材に出かけ、懸命に思考や検証の素材を集めているところだ。頑張ろう。

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