悪の凡庸さ、正義は不変ではない

 「本当の悪は、平凡な人間が行う悪です」――ハンナ・アーレント。

 悪の凡庸さは、これからの日本、米国、そして世界に大災難をもたらすだろう。私たちの中にも、たくさんの凡庸者がいる。政治に無関心・無興味ながらも、沈黙や保身的同調・追随で、知らずに悪に加担している。

 ヒトラーを熱狂的に支持した多くの平凡なドイツ国民。そして、虐殺対象となるユダヤ人名簿を作成しただけだったり、ガス室の設計と工事に関わっただけだったり、ユダヤ人輸送列車の運行を手配しただけだったりする平凡な役人たち。

 時代の正義に従ったにすぎない。上司の命令に従ったにすぎない。当たり前すぎるほど当り前のことをやっただけ。そんな平凡な人間が成した悪(作為または不作為)は、本当の悪であり、しかも後世になって初めて、悪として認知される。

 正義とは、時間の経過とともに定義が変わる。正義は、不変ではない。その時代の正義に逆らうことのできない多く、大多数の平凡な人間が世界に災難をもたらす。

 全体主義を支えているのは、その時代の、旬の正義である。

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コメント: 悪の凡庸さ、正義は不変ではない

  1. その時代の、旬の正義>
    一体、どのようにして、何の意識で醸成されるのかについて、立花さんの見解を伺いたいです。

    1. 「空気」ではないかと。山本七平『「空気」の研究』に書かれているように、思うに、何も日本人だけの問題ではない。社会や組織に覆われる「空気」に逆らう不利益を回避するためだと思います。

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