緊急事態宣言延長、問題が深刻化するだけ

 日本政府はコロナの緊急事態宣言を6月20日まで延長すると決めた。大混乱に陥るだろう。

 飲食業は我慢の限界を迎えるのが一因だが、もう1つの大きな原因がある。繰り返しいってきたように、「良い子」「悪い子」の損得逆転問題。

 緊急事態宣言は、法的強制力・罰則を伴わない「自粛勧告」である。すると、必ず違反者という「悪い子」が出る。「良い子」が時短で店を閉じたり、大人しく酒類の販売をやめたところ、客が「悪い子」の店に殺到し、「悪い子」が大儲けする。

 「正直者が馬鹿を見る」「正直者が損をする」といえば、まさにそのことだ。

 どんな社会でもこれは絶対にあってはならないことだ。そうなれば、「悪貨は良貨を駆逐する」。「悪い子」が「良い子」を堕落させ、「良い子」がどんどん「悪い子」になるからだ。

 法律の強制力でなく、モラルや性善説に頼った政策は、結果的にモラルの崩壊を招く(会社経営も然り)。そういう意味で、緊急事態を続けても、大きな効果は出ないし、それどころか、より深刻な社会問題を引き起こすだけだ。

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