魑魅魍魎が跳梁跋扈、永田町の伏魔殿

 自民党総裁選、総選挙。コロナを横目に、永田町の無血戦争は熾烈だ。まさに魑魅魍魎が跳梁跋扈する伏魔殿の様相を呈している。

 国益>党益>派益>個益。という大所高所から見た利害関係には、異論はなかろう。問題は、これらのベクトルの方向が一致しないとき、あるいは相反するときの意思決定と行動だ。国益など、そこまで高尚な次元はさておき、せいぜい自民党という党益レベルで考えてみよう。

 与党自民党にとって今の課題は何か?非常に単純明快――「誰を総裁にすれば、総選挙に勝てるか」

 論点が明確になったところで、菅氏、岸田氏、高市氏、あるいは石破氏も加えて、情報分析を行い、シナリオを描き、勝算のもっとも高い人を総裁にする。それが、何よりも党益に合致する。エリートの多い政党であるから、これくらい簡単なことを理解できないとは思えない。作業は数日あれば十分だろう。

 しかし、それができない。派閥の利益、派益を優先したいからだ。それでも結構だ。では、派益をみてみよう。いちばん面白いのが無派閥系。無派閥とは、党益や国益を優先するというなら、大いに結構だが、個益優先であるが故に無派閥にとどまる者もいる。派閥闘争のバランサーとして、首相の座を手中にした菅氏はまさにその好例。

 この期に及んでいよいよ個益最優先の姿をあらわにし、二階氏の切捨てに踏み切る。個益というなら、それでもいいと思う。個益次元で論じよう。つまりは、菅氏にとって、「個益の最大化とか何か」「そのために何をすればいいか」という論点設定だ。二階氏の切り捨ては果たして菅氏の個益に合致するものだろうか。

 答えはおそらくノー。この辺の話をすると、長編になるから、ここで打ち切るが、今後の展開と結果で検証すれば、明らかになるだろう。権謀術数という次元でもいいが、菅氏は技術的に長けているとはいえない。つまり、個益追求に熱心だが、その能力が不足しているということだ。

 魑魅魍魎が跳梁跋扈しても、それぞれのスキルに差がある。だから、私がずっと言ってきたが、菅氏は大企業の課長器だ。

タグ: