「いいね」あれこれ、嫌われる人と好かれる人

 フェイスブック投稿につけられた「いいね」の数を、3つのカテゴリーに分類することができる(自他のサイトに共通する観察の結果)。

 第1カテゴリーは、万人向けコンテンツ。いちばん「いいね」が多いのは、食べ物、ペット、旅行、友人の集い、家族写真などに集中している。つまり、誰もが「いいね」しやすい部類。あえていえば、反対する理由が存在しない、もっとも「社交辞令」「世間話」的な部類でもある。ただし、羽振りの良いところを下手に見せつけると、たまに厭味なコメントがついてくる。

 第2カテゴリーは、同類向けコンテンツ。個人的な嗜好や意見、生き方、価値観の発露で、好き嫌いが分かれ、同類の人から「いいね」をつけられる。政治的意見や立場になると、ものによっては同類の熱狂的なコメントが殺到することもある。それがしばしばガス抜きや傷の舐め合いになったりもする。一方、政治を忌避する人たちが敬遠する傾向もみられるので、ケースバイケースで「いいね」が流動的になる。

 第3カテゴリーは、万人不向きコンテンツ。大方の人、ほとんどの人が忌避する事象や、希望的観測に反する事象がこれに当たる。たとえば、コロナ。オミクロン株のリスクを仮説的に投稿するだけで、「いいね」が極端に減る。捉え方によっては、「煽っている」とも指弾されかねない。

 この第3カテゴリーに関しては、普通の人は意図的に他人(特に大多数)の忌避事象を持ち出したり、細かく論じたりはしない。私は職業柄、リスク仮説を立て、予防策を講じるのが仕事であるから、「職人的な情熱さ」に駆られ、書いてしまうわけだ。相手によっては、私は異端者ないし異常者扱いされることもある。

 これはフェイスブックなら、せいぜい「いいね」が減ったり、最悪でも友人解除されておしまいだが、顧客企業となると、契約を切られるのがオチ。そうした経験は何回も何回もあった。企業は一般人よりはるかに冷静なはずだが、しかし相手も生身の人間であるから、忌避事象もあれば、希望的観測や既定事項にコンサルタントのお墨付きを取り付けたい場面もしばしばある。

 そうした空気を読めない、読まない、読もうとしない私は、クビを切られても文句を言えないわけだ。とはいえ、そうした中でも、そんな私にしっかり案件を依頼してくれる顧客も少数ながらいる。本当に、心から感謝したい。

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