スウェーデンも日本も無理!「集団免疫」はなぜ失敗するか?

 新型コロナウイルスが拡散するなか、大多数の国がロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。しかし、スウェーデンが独自路線を取り、集団免疫を目指している。

 「集団免疫」とは、多数が自然感染して免疫を持つことでウイルスを抑制する概念である。私はネットで検索して歴史上の成功事例を探したが、どうも見つからない。もしや、数理モデル次元で構築された理想像に過ぎず、実現の可能性はかなり薄いということであろうか。

 ただ、前例がないからといって、失敗すると言っているわけではない。スウェーデンが壮大な実験をやっているし、日本もアジアでそれに近い形で成功モデルを模索しているようであれば、史上初の壮挙を成し遂げる可能性も否定できない。

 といいつつも、私は悲観的である。

 まず、多数の自然感染に辿るまで長い時間がかかる。その長い時間には多大な苦痛や犠牲が伴い、これに耐えられるのか。それが失敗して再度ロックダウンに政策転換した場合、ストレート・ロックダウンの国々に比べてはるかに大きな損害を蒙ることになる。したがって、「集団免疫」は壮大な賭けでもある。

 壮大な賭けである以上、国民の合意が必要不可欠である。スウェーデンも日本も、賛否両論が対峙する様相を呈している。ロックダウンで成功した周辺国と睨めっこしながら、国民の分断を押さえつつ、時間との戦いに耐え抜くことができるのか。何よりも政治的決断に踏み切った政権が最終的責任の取り方を問われよう。

 次に大問題となるのは、他国との関係である。ロックダウンはきちんとやれば、概ね2~3か月で効果が表れる。ロックダウンは決して感染をゼロにするわけではない。いったん感染を封じ込めた後、散発的な感染も発生し得るが、その場合、ピンポイント的なミニ・ロックダウンを実施したりして抑え込んでいく。

 今までの事例をみると、ロックダウンに成功した国にとって一番大きな脅威は海外、特に感染国、「集団免疫」途上国からの人的流入である。「集団免疫」は数か月、1年ないし数年かかる、人口1000万人ちょっとのスウェーデンと1億2000万人の日本の所要期間も全然違う。そこで短期で終息を迎えたロックダウン成功国は、「集団免疫」途上国をある意味で「敵視」し、徹底的な遮断措置を取るだろう。

 やがて、「集団免疫」途上国は孤立し、他国からロックダウンされ、ガラパゴス化する。これは流的に、国際経済活動や人的交流面では差別されることにもなりかねない。この辺からもたらされる長期的損失を国内経済でカバーできるかが問われる。

 根拠はないが、5月の状況次第で、スウェーデンは「集団免疫」の成功見込みが薄ければ、英国同様あっさりとロックダウンに転じるのではないかと、私は見ている。そこで取り残される日本の孤軍奮闘がいつまで続けられるか。最悪のパターンとして、南米やアフリカの国々と同一グループに帰属し、「集団免疫」どころか、「列島感染」の惨状に陥りかねない。

 独自路線もいいが、防疫問題ではある程度の「国際協調」を考えないと、やけどするだろう。

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