「健康診断は不要」、数値で一喜一憂するな!人生は楽しく!

 「健康診断は不要」ではなく、今の健康診断は、間違っている、不要な項目がたくさん入っていて必要なものが抜けていると言っているのだ。『「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める”2つの検査”』(2022年2月15日付けプレジデント・オンライン)

 国際医療福祉大学大学院教授和田秀樹氏は次のように述べる(抜粋要約)――。

 「現在、日本の健康診断では50~60項目に関する検査を行うのが一般的だが、これらのうち、健康に影響するとはっきりエビデンスのあるものは血圧や血糖値などせいぜい5項目くらいだ。血圧や血糖値がものすごく高い場合などは、現在や将来に体によくないことが起こる(これも確率論)と認められるものの、それ以外の項目は、数値がどうであれほぼ当てにならない」

 「日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどない。薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになる。…『健康診断は不要である』と述べたが、『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値がある」

 「(悪い数値で20年後の健康状態を憂慮するが)20年とは医学の進歩に十分な時間だ。iPS細胞(人工多能性幹細胞)をフル活用した再生医療が実用化されていて、多少の動脈硬化であればiPS細胞を動脈にまくだけで、血管が若返ることもあり得る。とりあえず心臓ドックや脳ドックを受けて突然死のリスクだけは避けよう」(ここまで抜粋要約)。

 健康診断の数値が良くても急死する人もいれば、数字が悪くても長寿する人もいる。悪い数値で20年後の健康状態を憂慮し、日々の生活で不健康なダイエットをしたりするのは、逆に精神衛生上よろしくない。和田氏いわく「健康診断の結果を闇雲に恐れて頭を悩ませるのはやめよう。そして、必要以上の節制はせずに楽しんで生きよう」

 そもそも、健康診断は、一大産業である。利益を出してそれで糧を得て儲けている集団が存在していることを忘れるな。そして製薬も儲かる一大産業である。毎年毎年、数十項目の検査で意味があるのか。さらに数値には魔術が隠されている。

正規分布に見られる少数データの両端(赤線)

 健康診断には基準値がある。正常値とも呼ばれる数字を超えると、異常と診断される。正常値から逸脱しているから、異常だ。この正常値の中身をみると、いわゆる平均基準であることに気付く。現代人は基準値という怪物に結構騙されている。つまり、統計上の正規分布である。

 データを取るには調査が必要。調査対象人数を増やしていくと、平均値付近のデータ数がもっとも多く、両端のデータ数が少ない、という左右対称のつりがね型の分布になる。このつりがね型の分布を「正規分布」という。そこからいわゆる「正常値」が出される。

 科学万能の時代だ。「科学」を担ぎ出せば誰もが反論できない。統計学は科学としても金儲けのツールとしても実に様々な使い方がある。人間は標準化された生き物になり、基準値の世界において標準から逸脱したところで医療業の顧客(患者)にされてしまう。そういう側面を看過できない。

 世間の常識に流されず、主体的に様々な事象を分析し、判断し、意思決定を下そう。

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