ラオス日記(5)~白紙の強み、「攻め」と「守り」の関係

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 長い一日がなかなか終わらない。夜のイベントは、ラオス料理と民族ダンスショーの鑑賞。出向いた店は、ビエンチャンの東側にある「クアラーオ(Kualao)」

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 2004年、小泉元首相がラオス訪問中に立ち寄った店として、日本人の間で一躍有名になった。ここもまたフランス殖民地時代に建てられた古い館が改造されたレストランだった。

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 料理は、いろいろ食べたいので、セットメニューにした。私が注文した15ドルのセットには、ラオスの代表的な料理が小皿(小皿といっても小さくない)で盛り合わせになっている。後から出てくるデザートなどを入れると、12品もある特大コースになる。正直言って、普通の日本人はおそらく食べきれない。私のような大食漢でも、それを完食した時点で、ほとんど動けない状態に陥った。

 カオニャオというモチ米の赤飯がとても美味しいが、腹中で膨れる。膨れる前に、手早く料理をさっさと食べてしまうと、あとは大変。胃の中に、徐々に交通渋滞状態が悪化していく。

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 料理は、「素朴」の一言に尽きる。美食とは言えないのかもしれないが、その素朴さですっかり心が癒される。

 帰りのトゥクトゥクで向かったのは、夜市。イメージしていたのは、民芸品の売店や屋台がいっぱい、いわゆるタイのチェンマイあたりにありがちな夜市だったが、大外れ。飴玉程度しか売っていない露店がぽつんぽつんと数箇所以外何もない。ところが、大音量で盛り上がっている広場に行ってみるとびっくり。巨大なドラえもんキャラクターをバックに、大人も子供もゲームに全力投球。無邪気な笑顔がいたるところに溢れている。

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 貧しくても、幸せになれる。

 ビエンチャン市内に、高層ビルは皆無だ。経済成長とほぼ無縁だったこの小国は、中国やタイ、ベトナムといった巨人に囲まれ、金もない、港もない、立派な工業団地もない、洗練されたリゾートもない・・・でも、人々は、平和に幸せにたくましく暮らしているのだ。

 何もないのが、ラオスの強み。失うものがなければ、あれこれ心配することがない。ひたすら、日々を楽しみながら前進するのみだ。これまでの暮らしを守りたい日本人は、いまどん底に陥って苦しんでいる。時代の変遷で、国家や民族にもたらされる影響は甚大だ。このような激変の時代に生きる人間の真の幸せとは何か?ラオスを見ながら、もう一度深く考え込んだ。

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