ノルドストリーム爆破、中国が得する理由

 ノルドストリーム海底天然ガスパイプラインは、誰かに爆破された。ロシアが天然ガスを人質に欧州と交渉する余地がなくなり、欧州もガス切れの現実を受け入れざるを得ない。

 欧州(特にドイツあたり)は口先でロシア制裁と言いながらも、密かに裏取引でロシアから天然ガスを買っていると思われる。爆破された当時のパイプラインから常識外れの多量のガスが湧き出たのもその証拠かもしれない。

 だが、裏取引だから、切られても欧州は文句が言えない。人質を解放させるためにテロリストにお金を払うのが正義に反する。だったら一層その人質を第三者の正義の味方が殺してしまう。テロを負かすためにもっと大きなテロをやると。さすが正義の大国でスケールが大きい。

 それはどうでもいい。ガス切れになった事実は変わらない。欧州とロシアの裏取引の道が閉ざされた。庶民の越冬はまだしも、問題は化学工業や自動車などの産業。どうするんだ。そこで米国が欧州に甘い誘いを仕掛ける。「どうだい。アメリカに工場をもってきませんか。エネルギーもありますよ」

 うまい!その手。エネルギーで稼げるだけではない。欧州の大規模投資で、雇用や税金、米国にとってはバラ色の将来が待っている。経済が回復すれば、バイデン民主党政権は安泰だ。

 そこでニヤニヤと中国が出てくる。「ドイツ企業、欧州企業の皆さん。アメリカに行くんですか。高いですよ。中国はアメリカよりコストが安い。ロシアからのパイプラインは爆破されることもない。安心して操業できますよ。何よりも中国という大市場があって、産直でどんどん売って稼げますよ」

 そいつは有難い。中国だ中国に行こうと、中国はこれで第二次投資ブームを迎え、米欧関係の薄弱化、ユーラシア大陸産業の一体化は着々と進む。それが追い風となれば、台湾統合もさらにやりやすくなる。

 だから、いちばん得するのは、中国にほかならない。米国の知恵も悪知恵も中国には及ばない。

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