ニセコ(1)~外国人に買われるニッポン、「ニセコ相場」は続くのか?

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 外国人に買われるニッポン。その代表格といえば、北海道のニセコ。そんな場所を見に行こうと、新千歳空港に降り立った私はレンタカーに乗り込む(2022年11月30日)。

 新千歳からニセコまでは120km。今年の本格的な初雪を迎え、支笏湖を通り過ぎたところから、徐々に雪道になっていく。ヒノデヒルズ(Hinode Hills)に到着すると、早速物件を案内してもらう。

ヒノデヒルズ(Hinode Hills)、以下同じ

 この物件のデベロッパーは、マレーシア系高級ホテル運営専門のYTLホテルズである。YTL系列のホテルはマレーシアでもよく利用しているので、比較対象として見てみるのも面白い。YTL社は近年(コロナ前)ニセコ地域の外国人不動産市場の盛況をみて、なお札幌市が2030年の冬季五輪誘致を目指し、ニセコも一部競技で会場となる可能性があることを見越して投資に踏み切ったという。

 そうしたマクロ的背景はよくわかっている。私は興味があるのは、日本国内の同等レベルの不動産相場からかけ離れた「ニセコ相場」の行方である。かけ離れたとは、数割ではなく、数倍に達しているからだ。この「相場格差」は、将来的に3つの可能性(シナリオ)がある――。

 シナリオ1、「ニセコだけではない」パターン。日本中のあちこちに第2や第3の「ニセコ」が出現する。たとえば、ルスツや富良野ないし北海道以外の景勝地・リゾート地にも需要に裏づけられた外国人向けの開発が進み、国内一般相場からかけ離れたものの、スポット的な外国人相場が複数化し、拡散する。そうすると、後発組が先行・独走者のニセコを牽制し、ニセコ相場は横ばい推移し、高止まりし、または下落する。この場合は、第2や第3のニセコを物色し、先行投資することが賢明だろう。

 シナリオ2、「ニセコはどうなるか?」パターン。外国人不動産市場の総量が伸びない、あるいは若干伸びても、ニセコは何らかの差別化した優位性をもって、堅調な相場を維持し、または引き続き上昇する。そうした場合は、先行者のニセコと後発組の投資対効果を比較する必要が出てくる。ポイントは、需要総量(量)需要の多様化(質)という2つの要素にかかっている。マーケティング的には特に後者が面白い。

 シナリオ3、「ニセコは凋落する」パターン。全体的に行き過ぎた(バブル化した)「ニセコ相場」は、市場の洗礼を受け、独走的な高相場はやはり維持困難になり、下落する。ニセコは雪が降らないとビジネスにならないという。「雪ビジネス」という特殊なポジショニングは諸刃の剣で、冬以外のシーズンは稼働率が相対的に低下する。その線で考え、単に投資対効果の視点からすれば、やはりオルターナティブ(代案)を出しやすい。つまり後発組の出現と追い上げの可能性がある。

 「ニセコ」というスポットに注目するか、「外国人市場」という市場に注目するか。とはいっても、前者が後者から制約を受けている。それを忘れてはいけない。

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