上海での食リスト。まず1位に上がっているのは何といっても、小籠包。私にとって本物で美味いのは、鼎泰豐流の上品な薄皮よりも、皮がやや厚めの上海南翔小籠包。7泊の上海滞在中に、5店舗で小籠包の食べ比べを実施。
【店舗1】豫園・南翔饅頭店。言うまでもなく私の最愛。元祖小籠包、いや、小籠饅頭。店名もメニューもすべて「饅頭」で統一されている。中国語では通常、中に具を包んでいるものを「包子」といい、中に具のないものを「饅頭」と称して区別する。元祖の小籠は、饅頭と呼ばれるだけに、「皮」がメインであることを示唆する。故に皮の「薄さ」を競うのは、本筋ではない。
南翔饅頭店の小籠饅頭は程よい厚さの皮、あのもちもち感と汁のハーモニーが絶妙。ただこの店はかなり大店舗化し、以前にあったガラス張りの作業場(厨房)が消えてしまい、饅頭の具の大きさも形状も均一化していることから、もしや工業化した機械製作によるものに変わったのではないかと推測する。
【店舗2】庶民派レストラン「王中王餐庁」。事務所の近くにある目立たないローカルレストラン。久しぶりに行ってみると、内装も綺麗になったし、客も上等庶民になった感じだ。小籠包は皮も具も完全手作りで、やや厚い皮はもちもち感満点。間違いなく饅頭系である。目隠しなら、本系南翔と区別がつかないほどで、今回食べたなかでもっとも完成度の高い部類だった。
【店舗3】点心料理専門店「豊裕」。こちらも庶民派。点心料理専門店と名付けたのは、饅頭、雲吞、麺類などの点心がメインであり、2階に料理を食べる客席も併設される店舗形態を言う。点心とは小腹がすいたときの間食で、小籠包もその部類である。ここの名物は生煎包子(煎り饅頭)だが、小籠も当然ながら饅頭系で高得点を付けたい。
【店舗4】湖南料理「滴水洞」。上記と反対で、こちらは料理店の点心。饅頭系でなかなか美味しい。結局、分類からいうと、一般店ないし庶民店は軒並み饅頭系であるのに対して、高級店の場合、薄皮型の包子系が多くなる。薄皮だと、何となく芸術品のような高級感が漂い、格も上がる。
【店舗5】花園飯店・中華料理「白玉蘭」。オークラホテルの中華はやはり、高級。小籠包も当然ながら、極薄皮。見事な芸術品である。食べるときも、皮が破れて汁が流れ出てしまったら台無しだから、気を付けながら酢を垂らして優しく口に運ぶ。やはり、私にはA級が合わない。美味しいが、疲れてしまう。思わず、饅頭が恋しくなる瞬間だ。
小籠包と小籠饅頭、5店舗の食べ比べ。ご馳走様でした。