コンサル大淘汰時代の幕開け、ChatGPTとの付き合い方

 コンサル・バブルは早くも終わる。米アクセンチュアが1.9万人の人員削減を発表したほか、マッキンゼーやKPMGもリストラを進めている。特にアクセンチュアの業績は絶好調なのに、なぜリストラか。理由は簡単だ。AI(人工知能)の嵐はもうそこまできているからだ。

 フェイスブックにはこんなコメントが寄せられた――。「最近調査業務専任の社員を解雇。彼が2週間かかってもできないレポートが、ChatGPTにかけてわずか10分、パワーポイントでプレゼン作りで1時間でできた。これが現実!」。ChatGPTにクビを切られた生きた事例だ。問答無用、結果がすべて。

 ただ、上記の事例だが、新たな問題を浮かび上がらせた――。肝心な情報調査はわずか10分でできたが、プレゼンのためのパワーポイントづくりになぜ50分もかけたのか。いずれAIが一括にやってくれるだろう。それよりも、「プレゼンのパワポづくりは本当に必要なのか?」。そもそも、「プレゼンを見、聞く上司は必要か?」という問いがやってくる。

 サラリーマンは生身の人間で、なかなかそこまで聞けない。しかし、将来的にAIが問いかけてくれるかもしれない。忖度しないのがAIのもう1つの強みだ。

 話に戻るが、大手コンサル業者のリストラ。コンサル業は、誰よりも、先を読んでいるはずだ。ChatGPT、昨今のAIは、コンサル業界の半分以上を破滅させる。ChatGPTに聞けばわかることは、わざわざお金を出してコンサルタントに聞く意味がない。これから、コンサルタントが顧客の前でプレゼンしても、「あ、そんなレベルのことなら、とっくに知ってるよ」という状態になったりする。

 ChatGPTのできることしかできないコンサルタントも他のホワイトカラーも、クビだ。では、「ChatGPTが経営コンサルタントに取って代わることができるのか?」と、ChatGPTに聞いてみたら、次の答えがやってきた――。

 「ChatGPTは、言語理解の分野で高い性能を発揮するAIであり、特に自然言語処理の分野で有用性が高いです。経営コンサルタントは、ビジネスの戦略や改善案を提供することを専門としていますが、人間の経験や洞察力、創造性が必要とされる場合があります。その点で、ChatGPTは人間と同等の洞察力や創造力を持ち得ていないため、完全に経営コンサルタントに代わることはできません。ただし、ChatGPTは多くの情報を収集し、分析することができるため、データの分析や潜在的な問題点の洗い出しに役立つことがあります。また、ChatGPTを活用することで、より迅速かつ効率的に情報収集や分析を行うことができ、経営コンサルタントの仕事をサポートすることができる可能性があります」

 明確な答えだ。AIが取って代わることが困難で、人間ならではの価値は、「経験」「洞察力」「創造性」である。一方、「情報収集」「情報・データの分析」「問題点の洗い出し」といったコンサルタントの補佐業務は徐々に、AIに取って代わられる。

 私は自分のコンサル業務について、まさにこのガイドラインに沿って、ChatGPTをはじめとするAIと効率よく付き合っていきたい――。

 1. 初期段階の一般情報収集などの基本調査は、AIに移管する。その際、正確かつ複眼的な回答を引き出すためにも、人間は「質問の仕方」や「異なる聞き方」に注力する。

 2. AIは無謬性を保証しないため、AIからアウトプットされた回答を精査・検証する。誤謬を是正し、不足を補う。AIが提示した異視点を取り上げ、学習し、人間の成長に取り組む。

 3. 経営コンサルタントとして、原則として「AI成果物」と「人間成果物」を分けて顧客に提示し、顧客に自分のプロとしての人間価値の有無・多寡を判断していただく。

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