聞くな、考えろ!聞くなら、考えてから聞け!

 中国やベトナムだけでなく、日本も同じ。仕事のやり方について、言われたことしかやれない従業員がいる。大勢いる。

 仕事を細かく、一つひとつ具体的に指示を出さないと、動けない従業員。これはAIにまず取って代われる候補軍であろう。指示をすべてインプットして、スタートボタンを押す。ロボットとほとんど変わらない。AIはデータに基づくパターン化の学習機能が向上すればするほど、代替性が上がる。

 「分からないことがあったら、何でも聞いてください」

 これは日本人ならではの親切さかもしれない。職場のOJTは通常、これが日常的、微笑ましい風景である。しかし、この風景はいつまで続くのか、厳しい時代に新たな要請をされていることに気がつかない人が多いようだ。

 思うに、「分からないことがあったら、すぐ聞くな」「何でも聞くな」という姿勢が必要。まず、考えること、考え抜くこと。とにかく自分から情報を集め、情報を処理し、答えを出そうという姿勢に徹する。それでも答えが出ない場合、自分がある程度まで考えた成果を踏まえて、深みのある質問をする

 単純に上辺にとどまる「素朴な質問」ではなく、本質に迫る「深みのある質問」。そこまですると、逆に質問されたほうの「上位者」が気付きを得られたり、「よくそこまで考えたね」と膝を打つ。「教える」と「学ぶ」の境地を超越した時点で、対話双方の思考品質が向上し、物事も本質的に改善される。

 AIと対峙し、われわれ生身の人間の優位性はどこにあるのか。これを常に考え、行動しないと、必ずAIにやられる。

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