【VOA 取材記事・動画】G7広島サミットの標的は中国、専門家:中露結盟を促し日本を更なる危険に陥れる(抄訳)

【VOA 取材記事・動画】『G7広島サミットの標的は中国、専門家:中露結盟を促し日本を更なる危険に陥れる』=中国語記事『G7广岛峰会剑指中国 专家:促使中俄结盟让日本更危险』(2023年6月3日付ボイス・オブ・アメリカ(VOA))(抄訳)

● 「中国包囲網」の本気度を中国に示す

 G7広島サミットは5月21日に閉幕し、岸田首相は念願の地元広島訪問を各国首脳に呼びかけ、日韓、日韓米、四極安全保障対話( クアッド)サミットの傍らで、台湾海峡の平和とウクライナ支援の再確認を中心に、G7が法の支配に基づく国際秩序を維持すべく連帯を強化すると提言した。

 国際経営コンサルタント、エリス・コンサルティング社創設者である立花聡博士は、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に応じ、次のように指摘した。

 「米欧の政治家やメディアは『国際社会』を自称し、いわゆる正義や道徳の高みに立つ側を善、中国やロシア、北朝鮮などの反対側を悪と主張している。しかし今日、少なくとも2つの『国際社会』が存在している。民主主義は多様性を容認し、包摂性が本義である。そこで民主主義が独裁を撲滅しなければならないのであれば、民主主義自体が独裁の一種となる。G7広島サミットは、基本的にアメリカを親分とする1つの『国際社会』が、ロシアや中国というもう1つの『国際社会』を糾弾するものであり、岸田政権は日本の国益を顧みず、政治家の私益だけを考えていた」

 立花氏は「日本はG7のホスト国として、せいぜいアメリカ親分の下っ端、はっきり言って飼い犬にすぎない。台湾海峡や中国問題では、完全に日本自身の利益を犠牲にしている」と批判し、「政治家の利益と国家利益が相反するとき、それは国の災いの始まりだ。岸田氏がウクライナのゼレンスキー大統領をG7広島サミットに招いたこともこの点を如実に反映している」と指摘した。

● ゼレンスキー氏来日、日本包囲網の形成へ

 国際経営専門家の立花聡博士は、ゼレンスキー氏の来日とG7サミットへの出席は、日本が隣国から包囲される、という現実を再確認したも同然とし、「ゼレンスキー氏を広島に招いた岸田氏は、完全にロシアを敵に回してしまった。中露は嫌でも結盟に追い込まれる。日本は中国、ロシアと北朝鮮という3つの核保有国に南、北、西の3方向から包囲され、しかもウクライナのような陸路での援助ルートはない」と事態の深刻さを指摘した。

 立花氏はさらに述べる。「プーチンがウラジオストク港を中国に開放し、表向きは貿易港としてだが、実際は連合艦隊の基地とすれば、中国は垂涎の的だった日本海へのアクセスを手に入れることになる。また、ゼレンスキー氏がG7広島サミットに来訪したのは、各国に経済・軍事的援助を求めるためであり、ゼレンスキー氏とウクライナの特権階級の私益に合致するが、日本には全くメリットがない」

● 更なるリスクを招く

動画0:43から立花コメント

 国際経営コンサルタント、エリス・コンサルティング社創設者である立花聡博士は(注:動画0:43から)、「G7サミットが広島で開催され、『広島ビジョン』が出されたことは皮肉なことだ」とし、次のように述べた。

 「南京事件で多くの中国人が日本軍に殺された。一方、第二次世界大戦でアメリカが広島と長崎に落とした2発の原爆で30万人の日本人の命を奪ったのに、日本人はアメリカの行為に何ら言及もせず、代わりに中国を非難した。これは、アメリカの対日認知戦が大成功したことを示している。今の日本は中国に圧力をかける立場におらず、そのためのカードも持ち合わせていない。岸田氏の所為は日本をより高いリスクにさらすものにほかならない」

 立花氏は最後にこう語る。「日本は貿易の4分の1を中国に依存しており、サプライチェーンが押さえられている以上、戦う余裕すらない。岸田氏がやっているのは『No more Hiroshima』ではなく、『One more Hiroshima』だ」

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