賃金改定で悩む総経理、従業員にどう説明するか

 いよいよ新年度賃金改定の季節になると、賃金改定の相談が殺到する。

 業界の相場や隣の企業の給与水準、とても気になる。日系企業の場合、各種団体組織や調査会社、人材会社から毎年のように、地域別に「日系企業賃金相場」たる精緻な書物が出版されるが、私はほとんど読まないし、もちろん買いもしない。

 賃金相場なら、従業員に聞いた方が早いし、より精確だ。調査機関は全業種を満遍なく調査するだけに業種別の掘り下げはできない。が、従業員の場合、自社が所属する業種の相場なら、ある意味で調査機関よりも精通している。生き生きした情報をたくさん持っている。だから、賃金相場なら、従業員に聞けというのが私流である。

 「本にこの賃金相場が載っているから、だから、君はこの給料だ」。こんな理屈は、いまどきの若い(特に80後の)中国人従業員に通用すると思うか?自分の賃金に納得していなければ、良い仕事ができるはずがない。

 だから、「相場」よりも、「絶対値」だ。個々の従業員の貢献に対する時価ベースの評価という絶対値が必要なのだ。

 「相場」で「説得」するよりも、「時価」で「納得」させる。そう、「説得」ではなく、「納得」なのだ。

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