断食健康法、なぜ大々的に宣伝できないのか

 私は1日1食で、3年になる。59歳、無病。19年間健康診断なし。各国のことわざを寄せ集めてきた――。

 ● 断食で治らない病気は医者でも治せない(ドイツのことわざ)
 ● 断食はメスを使わない手術である(フランスのことわざ)
 ● すべての薬で一番良いのは休息と断食である(アメリカのことわざ)
 ● 人間は食べる量の4分の1で生き、4分の3は医者のために食べる(エジプトのことわざ)
 ● 病気は祈りと断食で治しなさい(イエス・キリストの言葉)

 たばこも肥満も、健康に悪い。たばこなら、禁煙。だったら、肥満は、断食だろう。禁煙の規制は、年々厳しくなる一方、断食はなぜ大々的に提唱しないのか?

 禁煙は吸うものが吸わなくなるという「引き算」。肥満は、食べ過ぎという「足し算」だから、同じく断食という「引き算」で相殺すればいい。それだけ単純なことではないか。なぜあまり聞かないのか?

 禁煙で影響されるのは、喫煙者層と数少ないたばこ製造会社だけだが、断食となれば、全国民と食品産業への影響が類比できないほど巨大かつ深刻だ。日本人10人に1人が1日1食や2食になれば、食品関連産業だけで年間3兆円の減収。さらにサプライチェーンの連鎖効果を折り込むと、政治家のクビが飛ぶ。

 さらに、製薬・医療産業。エジプトのことわざで言われているように、「人間は食べる量の4分の1で生き、4分の3は医者のために食べる」。要するに食費支出の大半は、病気を作っているようなものだ。食べる量を減らし、断食すれば、自然に病気が減る。しかし一方、人間があまり健康になり過ぎると、製薬・医療産業も成り立たなくなるわけだ。

 現代社会の産業。その多くは、不健康な生活、そして病気の存在のうえに成り立っている。体に何かを取り入れるという「足し算」が産業の基盤になっている。次から次へと生み出される製品やサービスを積み上げていくという、これも「足し算」。さらに病気になれば、治療を受け、薬を飲むというまたもや「足し算」の連続である。

 人間には、「足し算」が多すぎる。そろそろ「引き算」しませんか。いや、でも産業潰しの「引き算」はタブーだ。あくまでも個人ベースで密かにやる分には構わないだろうから、私は個人的に「引き算」に取り組んでいる。

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