階級社会の真実(2)~洗脳文化という仕組み

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 学校で勉強するのは、偽知識。社会で勉強するのは、真知識。偽知識は、テキストと試験にしか出てこないが、真知識は、テキストにも試験にも出てこない。社会において必要とされるのは、偽知識ではなく、真知識である。

 では、なぜ学校の教育では、真知識を教えてくれないのか。理由は簡単だ。まず、真知識を持っている教師が稀有だからだ。次に、ほんの一握りの支配層が大多数の被支配層を円滑に支配し、コントロールするためにも、真知識を誰にも教えるわけにはいかないからだ。

 教育は、3つのカテゴリーに分類される――。

 第1カテゴリーは、やっていいこととやってはいけないことを教える、平民教育という。義務教育から一般的な大学教育までは基本的にこのカテゴリーだ。「Know-How」(ノウハウ型)中心の教育で、「Know-Why」(本質追求型)にほとんど触れないから、一方的な刷り込み型、つまり洗脳型教育である。

 第2カテゴリーは、儲かることと儲からないことを教える、エリート教育という。一部の名門大学、ビジネススクール、ロースクールから、企業の実務現場まで、あるいは僭越ながら私が教えている企業経営者・幹部の特訓コースなどがこれにあたる。いかに戦略やモデル・仕組みを作って、経済的利益を最大化するかを教える教育である。エリート教育は高価であり、教材も講義も基本的に部外秘である。一般外部に漏らすことはない。

 第3カテゴリーは、何を奪っていいか何を奪っていけないかを教える、貴族教育という。統治にあたって、民の小康状態(奪っていけないもの)を維持・改善しながらも、いかに国際政治を含めてあらゆる利益を収奪し(奪っていいもの)、特権階層の持続的存在と繁栄を担保するかを教える、つまり帝王学型教育である。帝王学は、「天機漏らすべからず」と極秘裏に行われているため、世間にほとんど知られることはない。

 文化は、洗脳文化エリート文化という2種類しかない。洗脳文化は、民間にしかなく、ルールを守ることを教え、下層階級がいかに効率よく支配されるように、洗脳する。エリート文化を受けて、エリートとなった上層階級の主な仕事の1つは、洗脳文化を創り出し、洗脳文化の定着と普及に取り組むことだ。

 ごく少数のの上層階級が大勢の下層階級を効率よく支配し、コントロールするには、暴力装置ではなく、文化に頼る。ルールを守り、慣習に従い、そして何よりも考えないこと、思考停止は、下層階級文化の基本である。洗脳文化の仕組みを見破って飛び出した人は、エリートになり、やがて洗脳文化をつくる立場に変わる。

 3つの教育カテゴリーはそれぞれ異なる人を育てる。上層は、羊飼い。中間は、牧羊犬。そして下層は、である。

 聖書は、羊飼いと羊の関係を、神と人間の関係に例え、「わたしは良い牧者(羊飼い)です。良い牧者は羊たちのためにいのちを捨てます」(ヨハネの福音書10章)と書いてある。羊が狼にどんどん食われると、羊飼いも存在意義がなくなるので、それは命懸けで戦うだろう。統治者は国民を守るべく侵略者と戦うという意味で、帝王学レベルの論理だ。

 一方、守られる羊の群れは思考放棄して、羊飼いの言うことに従えと。しかし、今の世界では羊飼いが羊を命懸けで守ってくれるのだろうか。守るどころか、戦争から利益を得ようと、羊の命を犠牲にする酷い羊飼いもいる。にもかかわらず、洗脳だけは従来通りに行われ、いや、むしろ強化している。

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