ルサンチマン政治時代の幕開け、トランプ土建屋リーダー現象

 トランプ米大統領の誕生、いよいよ現実味を帯びてきた。

 日本国内の知識人や世論が概ねトランプ氏に批判的だ。私はこれに異義がない。一部、氏は当選しないだろうというような希望的観測も出ているが、ここまでくるといささか他力本願的なナイーブさを感じずにいられない。アメリカ国民が決めることだ。

 もうそろそろ批判や嘲笑をやめて、実務的対策を考えたほうがよほど建設的ではないだろうか。

 非理性と低知性で非難される氏の健闘は何を物語っているか。いや、むしろ非理性と低知性が彼のブランド。ブルーチーズが臭いと批判するほうがおかしい。トランプ氏は土建屋政治家で暴言も吐くし、煽動もする。だからなんだ。人気が出ているのではないか。

 高カロリーのジャンクフードをぱくつき、リットルペットボトルのコーラをラッパ飲みするアメリカのブルーカラー。日米安保や米国同盟関係の存在意義、アメリカの国益と世界秩序云々が彼たちにとって何の意味があるか。移民労働者を追い出せば、時給が1ドル上がるほうがよほど魅力ある話だ。

 格差時代の民主主義、マジョリティーの下層階級ないし貧困層がある意味で一種のリスクとなる。理性や知性に価値が置かれないポピュリズムから、ルサンチマン政治が生まれる。トランプ氏だけではない。フィリピン大統領選で暴言を連発するドゥテルテ氏も好調でトップを走る。

 土建屋リーダーの全盛期だ。トランプ現象は早晩、日本にも蔓延する。格差時代の必然的産物だ。

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