売れるのが良い商品だ、アジアの和食ビジネス雑感

 友人が東南アジアでの懐石料理の出店について聞いてきたが、止めた方がいいと答えた。

 まず現地の日本人相手なら、今は「量」が取れない。現地人客層となれば、「質」が良すぎて(コストをかけ過ぎ)採算が取れない。要は中途半端。さらに内装や家賃に金をかけたら、一巻の終わり。

 現地人商売なら「こだわり過ぎない」和食で充分、ローカル料理(味覚)の和風演出が重要。職人気質とか品質へのこだわり、海外では限界を知る必要がある。限界を超えると、価値観や美学の押し付けになる。布教になる。成功しない。

 日本料理はこうなんだ。旨いもんを食わしてやる。といった少々「上から目線」はやめたほうがいい。職人としての達成感や自己満足というものは必要だが、顧客側の受け止め方との親和性を考えないとヤケドする。

 富裕層向けの上級品は、必ずストーリー(物語)をつける。無口な職人は損する。ペラペラしゃべる調子の良い職人(日本人)もいるが、軒並みよく売れる。その手の客は常にストーリーを求めている。その次、ほかの現地人客を連れてきて、ストーリーテラー(物語の語り手)になって自慢するからだ。

 アジア現地人客向けの寿司も決まっている。握りはサーモンとトロ。雲丹の軍艦、ネギトロ手巻き。巻物はかんぴょうとか地味なのはダメで、カリフォルニアロールやその変種、派手派手な太巻きもOK。おまけにトロカツも付けよう……。

 こだわり度の高い品、手抜きの出来ない正統派は無理。NOBUだって言ってみれば「非王道」で儲かっているのだから。良い商品が売れるのではなく、売れるのが良い商品だ。

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