海外在住日本人への給付金、連帯感と祖国への思いを胸に刻む

 海外在住の日本人も、1人あたり10万円のコロナ対策特別定額給付金をもらえそうだ。自民党の岸田文雄政調会長は6月5日の総務会で、支給の対象に海外在住の日本人を加える方向で調整していると明らかにした。11日に成立予定の2020年度第2次補正予算案で関連する経費を確保したという。

 本件の提案者は、自民党の青山繁晴参院議員が代表幹事を務める党内の保守系議員グループ「日本の国益と尊厳を護る会」(以下、「護る会」)だった。

 4月30日、参議院本会議で今年度の補正予算が成立し、「国民への一律10万円給付」がスタートした。これに先立つ27日、護る会はある要望書を、岸田政調会長にアポなしで提出し、青山氏は強く訴えた。「海外に住む日本人は少なくとも140万人いる。事実上、見捨てるのかという事になっている。海外在留邦人への支給をお願いしたい」

 青山氏は、海外邦人への給付を提言に盛り込んだ理由について、海外在住の邦人から自身に対し「私たちは捨てられたのか」「日本国内の外国人には給付があるのに、同じ同胞なのに海外にいるというだけで給付がないのは日本国民としておかしいんじゃないか」という声が寄せられたからだと明かした。

青山繁晴参院議員(写真:自由民主党サイトより)

 思わず感動した。自分が先の参院選で、青山繁晴氏に一票(比例)を入れたことは正しかったと改めて実感した。それはお金をもらえるうれしさよりも、遠く海外にいながらも、同胞の連帯感を強く強く感じた瞬間の喜びである。

 振り返ってみると、2016年6月21日付けの記事『青山繁晴氏参院出馬、久しぶりの「ほぼ完全納得」候補』。青山氏は出馬にあたって、「1期しかやらない」「1円も受け取らない」と宣言。それは「政治はボランティアでやらねば」という私の理念に合致する。まさに「国益」が政治の大前提。美辞麗句は要らない。

 海外在住邦人について、様々な都合で日本を離れたもので、国内向けの給付金をもらうべきではないと私は考えた。いわば海外にいることに「自己責任」がつきまとう。もちろん、会社命令で海外赴任した人もいるが、これはどちらかというと所属企業組織が福利として検討すべき事項ではないかと思う。

 しかし、この合理性の「理」を超えて、連帯感という「情」があったのだ。給付金を手にすることにより、海外に住む日本人の一人ひとりが祖国に対する思いを胸に刻み、一人ひとりが常に「国益」を念頭に置き、世界各地で日本のために働き、行動すれば、それはそれは大きな力になるだろうし、日本は世界で大きな存在になるだろう。

 日本の財政は決して余裕があるわけではない。苦労して捻出されたこの貴重な原資を単なる生活資金としてだけでなく、いかにこれを生かし、価値を増やし、祖国日本に「倍返し」「倍々返し」していくか。われわれ在外国民の一人ひとりが真剣に考えるべきことではないだろうか。

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