約束の地、マレーシア

 正午のクアラルンプール首都圏。快晴、気温32℃、湿度46、微風。太陽、空気そして水との親和性を体の芯から実感し、人類にもっとも適合した環境に恵まれ、限りなく幸福感に包まれる。

 北東アジアの冬季になれば、マレーシア居住者が羨ましがられる対象になる。逆にこちらは、赤道直下のマレーシアに四季がないことで、冷涼な空気が無性に恋しくなるときもある。

 私自身は比類なき暑がりで、9年前北東アジアからマレーシアに移住するにあたってかなり心配していた。暑い気候に慣れるのかと。しかし、来てみるとまったく問題なかった。

 そしてある発見をした。私の暑がりは決して単なる気温ではなく、高い湿度によるあのベタベタ不快感からきたものだった。高温多湿というが、高温よりも多湿が決定的だった。北東アジアの湿度が高い。体が疲弊する。

 「ミーンミンミンミン」というミンミンゼミの鳴き声は、北東アジアの夏の風物詩として親しまれているが、マレーシアにはない。最近たまに夏の日本へいくと、セミの鳴き声だけで私の汗腺が反応してしまうのだ。

 夏の気温も北東アジアのほうが高い。マレーシアは35℃を超えることはめったにない。しかも朝夕は25℃くらいにまで下がる(高原地帯はもっと低い)。最近、気のせいかマレーシアの気温が下がり続けているように感じた。日中は大体30~33℃、朝夕は20~23℃という感じである。これはもしや地球寒冷化の影響だろうか。

 寒冷化といえば、最近のトンガ海底火山の大爆発。大規模な火山噴火では、大量の硫酸エアロゾルが大気中に放出され、日射を遮断するため、気候の寒冷化をもたらすともいわれている。

 いずれにしても赤道直下のマレーシアは、住むには最良の地といえる。ある意味で少なくとも私にとっては、「約束の地」である。

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