医師の処方も十人十色か?飲酒と禁酒

 午前中は打ち合わせがなく、通院。軽めの高血圧の治療。いつものかかりつけ医のA先生が不在だったので、同じ循環器科のB先生に見てもらった。

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 「うん、ちょっと高めですね、血圧。お酒、飲んでますか。基本的に、やめてもらいたい。じゃないと、治りませんよ」
 「やめるとは、一滴も?」
 「そうです。完全禁酒にしましょう。それから、ジョギングとか運動もしっかりしてください」
 「・・・?」

 いつもかかりつけのA先生とはまったく違うことを言っている。A先生の場合は、

 「お酒はお好きであれば、完全にやめる必要はありません。やめると、違う種のストレスがたまるし、逆に体に負担がかかることもあります。週に2~3回、適量なら飲んでください。運動も、体重があるから、無理すると、これも体に負担がかかります。水泳とか、軽めのスポーツ、楽しんでいながらやってみてください。限界を知ることが大切です。高血圧なら、酒をやめさせたり、運動させたりする治療は、誰もが知っている理屈だから、医者は要りません。ライフスタイルを無理やり変えると、必ずマイナス効果があります。徐々に体質を改善していけば、色んな病気が自然に好転します」

 このような診断と助言をしてくれていた。

 なるほど、医師も十人十色。同じ病気でも、違う助言があるものだ。患者として、いったいA先生とB先生、どちらに従えばよいのか。私が思うには、A先生もB先生も間違っていない。世の中に、正解は一つだけではない。

 日本では、医師の助言がとても権威的に受け止められるきらいがある。医師は、偉そうに患者に、こうすべきだ、ああすべきだと命令調でいう。患者も医師がそう言っているんだからと素直に従う。昨今、情報が氾濫する時代、ある程度の医学知識なら、患者自身も十分に得ることができる。そこで、医師の価値はどこにあるのかを考える必要があるだろう。ただの情報の伝達だけでは不十分だろう。やはり、その患者のための「問題解決」に目を向けるべきだと思う。

 同じ病気でも、患者が十人十色。その患者にとって最良な治療法とは何かを提示しなければならない。そのために、患者からまず十分に情報を集め、その情報に基づいて独自の提案をする力が求められる。

 同じ病気の患者であるXさんとYさんでも、医師のA先生にかかったときとB先生にかかったときの治療効果が違ってくるのかもしれない。

 だから、重要なことは二つあると思う。まず、患者自身が進んで病気と治療のことを勉強すること、次、セカンドオピニオンといって、違う医師にかかって異なるアドバイスを受けてみること。

 コンサルティングも、同じ。私はいつも、顧客にこういう。「是非、ほかのコンサルタントの意見も聞いてみてください」。異なるコンサルタントは、異なる視線で問題を見つめるからだ。セカンドオピニオンによって、複眼的に問題を捉えることが可能になる。そして、問題解決の選択肢も増え、顧客企業にとって最大なバリューになる。

27539_4通院後の食事は、また美味しい

 私のコンサルティングには、「セカンドオピニオン」という項目がある。他の弁護士やコンサルタントが出した処方を吟味し、コメントをするものである。同様に、私が手がけた案件でも、他の専門家のセカンドオピニオンを受けるように顧客に勧めている。

 クリニックを後にした私は、ヘルシーな寿司定食のランチを取った。

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