現地料理人の日本料理店、なぜ繁盛店に変身したのか

 クアラルンプールの某日本料理店で食事を取っていると、思わず感嘆する――。最近、マレーシアをはじめ、アジア各地では現地料理人の腕が格段に上がった。

 初めて行く店の場合、予約する際に、料理人は何人かを確認しているが、昔は「日本人が指導している」とか「オーナーは日本人だ」とかで言葉を濁すことが多かったが、最近は堂々と「現地人(ローカル)」と明言している。相当、自信を持ったのだろう。自信とは、商売が順調に行っていることによって裏付けられているに違いない。

 日本料理はもう日本人料理人の専属分野ではない。逆に日本人シェフでうまく運営できなかった店が現地人の手に渡ると、一気に繁盛店に変身するケースも多数、私はみてきた。なぜだろうか。大きな原因の1つは、現地人が日本人よりも客に近距離でローカルの感性、味覚、需要を汲み上げてビジネスに反映しているからだ。

 日本人の強みであり、また同時に海外での弱みでもあることは、オーソドックスな日本料理を知り過ぎたことだ。それが先入観固定観念になり、邪魔になっているのだ。大胆な自己否定軌道修正ができないのが日本人料理人の致命傷である(もちろん、例外もある)。

 現地人シェフや見習者に対する「教育」も問題だ。上から目線としての「教える」ことだけではダメだ。日本料理とは何かを教えるのではなく、「売れる日本料理」とは何かを一緒に切磋琢磨する仲間、いや、場合によっては先生として現地人を迎え入れなければならない。プライドが商売の邪魔になっては馬鹿馬鹿しい。

 「石の上にも三年」などは、嘘だ。偉そうに弟子に向かって「いつまでも基本も知らんのか」と怒鳴り散らす日本人シェフ(日本国内も同じ)もいるが、いい加減に止めたらどうだろう。若手を酷使する時代は終わったのだ。このままだと、技術だけ盗まれて、現地人がどんどん我が世の春を謳歌する時代になる。

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