健全だ!Facebookで富を見せびらかす人の心理

<前回>

 Facebook(FB)投稿を事例学習として、FBで富を見せびらかす人の心理を見てみよう。

 1つ目のポイントは、「How」。FBでの「富を見せびらかす」行動の特徴を挙げると、リアルの行動に比べると、より広範囲に、より洗練された形で富を見せびらかすことができることだ。

 リアルで富を見せびらかすには、まず「空間(場)」も「時間」も限られているから、著名人以外の人ではそれほど簡単ではない。言ってみれば、チャンスが少ない。しかし、FBはバーチャルの空間(場)を提供するだけでなく、見る側は多人数であり時間の制限も受けないため、チャンスもボリュームも一気に広がり、拡大する。

 つまり、FBは富を見せびらかす需要にかつてない機会を提供している。画期的と言ってよし。さらに、「見せびらかす」よりももっと上品にさり気なく「見せる」こと、洗練な見せ方を可能にした。

 たとえば、空港ラウンジの使用。これはその場で、偶然に誰か知り合いにばったり会わない限り、なかなか他人、しかも多数の人に知らせることができない。しかし、FBはこれを可能にした。空港ラウンジの利用は少なくとも、ビジネスクラス以上の上級クラスを利用することか、またはプレミアム・クレジットカードを所有する上級会員であることを示唆してくれる。

 余談になるが、最近特に日本国内の空港ラウンジでは、列をなして入場待ちするケースも見受けられ、大衆化(カード濫発)によって「ラウンジデフレ」が起きているので、利用ラウンジの種別(特定航空会社の専用ラウンジであるかどうか)を見分けることが必要になってきた。

 食事の例にすると、ハイレベルな食事(特にA級グルメ)を見せる場としても、FBは絶好の情報発信プラットフォームになっている。これはあまり深く掘り下げると嫌われるので、この辺で打ち切ろう。

 2つ目のポイントは、「Why」。なぜ、「富を見せびらかす」かだ。マズローの欲求5段階説によれば、内的・精神的欲求・欠乏欲求にあたる4段目に「承認欲求」があり、その承認欲求の材料としては、基本的にお金、地位・人脈、学識・知識という3つの方面(単体または複合的に)に求められる。

 故に、「富を見せびらかす」ことは人間の本能(欲求)の1つであり、何も卑しいことではないし、忌避することもない。地位や学識もまた然り。もちろん、見せ方はいろいろある。

 最後に補足すると、税務当局は「富を見せびらかす」人たちの情報をFBからも手に入れているようだが、ただ、本物の富裕層は基本的にFBで「富を見せびらかす」ことはしない。FBはどちらかというと、真の富裕層の一歩手前か中間層の人が使っている。微笑ましい「見せ場」を拝見するには都合が良い。

 無論、私自身も何かしらを「見せびらかす」場面がある。

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