アメリカこそ世界規模の独裁者だ

 独裁と民主について、ChatGPTと対話してみた。

 「中国は、自国民の反中を許さない。アメリカは、他国の反米を許さない。中国は一国の独裁者ならば、アメリカは世界の独裁者」という私の主張を、ChatGPTにかけたら、反論が来た――。

 「アメリカは、民主主義国家であり、他国の反米は許されません。アメリカが世界の独裁者であるという主張は誤りです」ときっぱり否定。

 西側が作ったAIは、思想のインプットよりも、大量の西側メディアのデータ蓄積によって枠組みが出来上がっているようだ。「民主主義国家は、独裁者にならない」という命題はもはや仮説ですらない、絶対的真理になっている。だとすれば、中国が作ったAIは「中国共産党は、中国人民にとって唯一の選択である」という絶対的真理も成立するだろう。

 そもそも、「独裁専制は絶対悪」「民主主義は絶対善」という「ゼロか100」の二元論それ自体が論理的ではない。あらゆる言説や理論を疑い、問いかけるというのは哲学の基本ではなかろうか。

 中国は西側民主主義の存在を否定していない。ただ自国への適合性を懐疑し、導入しないことにしている。それが独裁だとすれば、中国人民は北朝鮮人が「脱北」するように、独裁政権の中国から脱出するだろう。中国には基本的に人民の出国する、「脱中」する自由が保たれている。

 しかし、フランスのマクロン大統領は、米国追随をやめ、自ら考える自由、自ら決める自由、つまり「戦略的自律性」という自由を取り戻そうとしただけで、たちまち米国から猛烈な批判・非難を浴びた。マクロン大統領は「反米」どころか、「脱米」の一言も言っていないのに、それだけ批判・非難されるとは、民主的といえるのか。

 「戦略的自律性」とは確かに、「脱米」の選択肢を示唆する。それを考える自由すら与えられていないのだ。組織に逆らうことや組織からの離脱を許さないのは、マフィアだけだ。ある意味で、アメリカは世界最大のマフィア組織のボスではないだろうか。

 中国は自国人民の「脱中」を容認しているものの、米国は他国の「脱米」を容認しないわけだ。いったい、どっちが独裁なのか。どっちも独裁なら、スケールが違い過ぎる。

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