「価値観外交」の誤解、日本人はナイーブすぎる

 いわゆる「価値観外交」は、真っ赤な嘘。「価値観外交」の理解を日本人が間違えている。決して「民主」や「独裁」ととったイデオロギー次元の価値ではない。純然たる経済的利益次元の価値である。

 アメリカは常にダブル・スタンダードで、非民主主義国とも裏で関係を強化したり、反対に民主主義国を敵視して圧力をかけたりすることもある。様々な組み合わせをその時その時に判断すると。経済的利益次第という価値観外交である。

 民主対独裁という価値観の対立・戦いなら、日米欧・西側諸国は、中国と断交して台湾と国交樹立するべきだろう。なぜ、できないのか?「価値観外交」の「価値」は、「経済的利益」の価値だからだ。愛人とラブホデートして「お前は世界一の女だ」と吹聴しつつも、金持ちの醜女正妻と離婚しない。そういう偽善で卑劣な詐欺男だ。

 世界で台湾と国交を持つ国は僅か、13か国(2023年8月現在)。いずれも地図上で見つからないほどの小国で、しかも、バチカンを除いて、いずれもお金目当てで台湾と付き合っている。世界では、まず経済的利益。イデオロギーなどは、より大きな利益を得るためのツールでしかない。

 私の住むマレーシアなどのアジア諸国は、経済のため親中だと素直に認めている。よほど立派な正直者だ。

 私がいつも言っているように、日本は日本の利益で「連中抗米」と「連米抗中」を使い分けるべきだ。しかし、残念ながら日本人は非常に純粋(ナイーブ)で、「親米」「反中」といった符号しか頭にない。それがとことんアメリカに利用されている。

 米国も中国も、日本の利益にさえなれば、良い国だ。しかし、似非民主主義のせいで、それができていない。

 中国のウイグル人権問題云々、日本に何の関係があるのか?米国は自国利益のために単にそれをカードにしているだけではないか。人権原理主義者で、私財全財産まで惜しげなく人権活動に注ぎ込むなら、それはそれで立派だ。だが、大方の日本人は中国サプライチェーンを断ち切って生活コストの大幅上昇すら受け入れられない。人権擁護など、無理だろう。

 結局のところ、経済的利益が全てを先行する。国も、政治家も、大衆も同じだ。イデオロギーが経済的利益を凌駕することはない。

 美辞麗句は、幼稚と偽善にすぎない。「人権」はビジネスだ。上は政治家、特権階級から、下は物書きのジャーナリストや論客まで、金額の多寡こそ異なるものの、みんな利益のためだ。そうしている間に、洗脳されて思考停止になった識者もたくさんいる。

 今日も明日も「民主」「人権」を声高に大合唱する。もうそろそろ食傷気味にならないか?腐った民主主義の世の中だ。

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