米軍はなぜ戦争に勝てないか?

● 「勝つ」とは何か?

 ウクライナ戦争で勝つ。そもそも「勝つ」の定義は何のか?ロシアははっきりしている。戦争の目標は「ウクライナの非軍事化と非ナチス化」。達成したら「勝ち」だ。だが、ウクライナの「勝つ」とは?

 1. 現状で停戦する(朝鮮戦争の38度線相当)。
 2. 東ウクライナの領土を部分的に、または完全に取り返す。
 3. 上記プラスクリミアまで領土を取り返す。
 4. プーチン政権を倒す。
 5. ロシアを崩壊させる。

 ゼレンスキーにとって現実的なのは、1だけ。不思議に思うことがある。ウクライナ戦場では、米欧製の新型ハイテク兵器が使われ、米欧人よりも勇敢・頑強なウクライナ兵士がロシア軍と戦っている。だが、負けている。なぜだろうか?最近、ウクライナ軍部と米軍が戦術戦法について喧嘩しているという報道がある。

 米軍に指導・指示された戦術戦法では、犠牲が大きすぎるので、ウクライナ側は「俺たちの戦い方で戦わせてくれ」と求めるようになった。だが、米軍はそれに同意しない。

 第二次世界大戦後の戦争で、米軍がまともに勝ったのは、湾岸戦争だけだったのではないか(湾岸戦争では、米軍は数か月も空爆し続け、焦土化したうえで初めて地上部隊を投入したのである)。ベトコンにも、タリバンにも負けた米軍はウクライナ戦場に投入されロシア軍と戦ったら、もしやウクライナ軍よりもさらにひどい惨敗を喫していたかもしれない。そんな米軍が日本を守ってくれると期待していいのか?

● 米軍はなぜ勝てないのか?

 米軍が強そうに見えてもなかなか勝てない。弱い敵軍に勝てない原因は何だろうか?

 まず、大量の犠牲者を出せないのが米軍の弱みだ。米兵のなかに貧困層出身者が多く、彼らは生活、お金のために入隊したのであり、死ぬためではない。米国本土防衛戦ならまだしも、ほとんど米国人に関係のない外国での戦争であるから、命を捧げる必要性も価値も見出せない。

 外国での戦争は、国際金融資本をはじめ特権階級の利益のための戦争であり、いくら兵士であっても、少しくらいは察知しているだろう。この利害関係の構造をみる限り、米軍は世界最大の傭兵組織といっても過言ではない。しかも、国家直営の傭兵組織だ。ワグネルなどとは比べられない。インセンティブの仕組みもまるで違う。

 米軍の犠牲者をたくさん出すと、徴兵ができなくなるし、国内では政治問題にもなる。とにかく、人命の犠牲はたくさん出せない。その代わりに最先端兵器を使ったハイテク戦で勝負するしかない。

 そこで次の問題が生じる。ターゲットがはっきりしていれば、ハイテク兵器は機能するが、ゲリラ戦や準ゲリラ戦となると、ハイテクはなかなか歯が立たない。ベトナムやアフガニスタンが好例だ。米軍はマニュアル化された組織だ。その組織と戦うために、まずそのマニュアルの攪乱作戦に出ればいいわけだ。

 米国は歴史が短いだけに、哲学がない。「力がすべてだ」と誤認している。傲慢、そして粗野極まりない。だから、なかなか勝てないのだ。

● ウクライナ敗色濃厚

 敵に学べ、毒を以て毒を制す。開戦当初、アメリカは消耗戦をロシアに仕掛けたが、今は逆にロシアが消耗戦で米欧潰しに取り掛かっている。領土奪還がゼレンスキーの評価指標(KPI)になっているから、犠牲の多い「攻め」に徹さざるを得ない。そこでロシアは「3つの潰し」に取り掛かる。

 ① ヒト潰し=ロシアは攻撃せず疲弊化のふりをし、「誘敵深入」戦術で敵を誘い込み、じわじわと消滅していく。
 ② モノ潰し=ロシアはウクライナの弾薬庫を続々と爆破し、いつまでもウクライナが武器弾薬不足に陥っている。
 ③ カネ潰し=ロシアは穀物輸出の港や海を封鎖し、ウクライナの唯一の外貨収入源を潰す。

 世の中はすべて、「ヒト・モノ・カネ」の3つで決まる。故に、ウクライナにはもう勝ち目がない。

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