民主対独裁の戦い、雑想いろいろ

● 独裁が民主に勝つ

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。――日本の場合、戦後最初の40年は不思議の勝ちで、その後の30年は当たり前の負けだ。ここまでは理解できる。

 しかし、一歩踏み込んでみよう。民主主義は独裁専制に負けるはずがない。あるいは、民主主義は必ず独裁専制に勝つ。この「法則」を疑う人は少ない。なぜなら、歴史は独裁から民主へと辿り、進化するわけで逆戻りすることはないからだ。

 ところが、民主主義は独裁の一形態に過ぎない。そもそも、「人民による人民のための政治」などはあり得ないのだ。この原理を理解できないいわゆる民主主義国家の大衆は、独裁専制国家とされる中国に追い越される事実を素直に受け入れることができない。

 独裁専制の中国は、経済発展を遂げ、世界2位の経済大国になった。米国が半導体を制裁したところで、華為はわずか4年で7nm半導体を作り出した。来る2023年9月25日の発表会ではもしや、5nmの披露目になるかもしれない。ならば米国制裁の完敗。そのうえ、中国は世界の半導体産業を制することにもなりかねない。

● 価値観よりも経済的利益

 日本や台湾、米欧西側は、みんなそうだ。「価値観外交」という虚構のイデオロギー的な仮想空間を作り出し、自己欺瞞する。結局、イデオロギーは経済的基盤に立脚するというマルクスの理論がよほど合理的に今の世相を解釈できる。西側も日本も、没落貴族で最後の栄光にしがみつき、貴族の高貴さをドブに捨てて、裸の王様で威張っている。見苦しい。

 ポーランドは9月20日、ウクライナへの武器供与をやめると表明した。2022年2月開戦以来、ポーランドはウクライナの最も強力な同盟国の1つだった。しかし最近、両国の間では穀物をめぐる対立がエスカレートしている。

 黒海の主要航路がほぼ全面的にロシアに閉鎖されて以来、ウクライナは穀物輸出を陸路に頼らざるを得なくなり、その結果、大量の穀物が中央ヨーロッパに流れ込んでいる。穀物価格の下落を恐れる農家を保護するため、ポーランドなどの東欧諸国はウクライナ産穀物の輸入を禁止した。

 「自由主義陣営」やら「価値観外交」やらすべてが嘘。結局、経済的利益。ウクライナ応援も、汚染水海洋放出に起因する日本の漁業に対する応援も、同じだ。一過性の応援は、1年も続かない。

● 反米大連盟

 先日のベネズエラに続き、今度はシリア。習近平は9月22日、中国訪問中のシリアのアサド大統領と会談し、両国関係を戦略的パートナーシップに格上げする方針を示した。反米大連盟の形成だ。もちろん、これも利益基盤の結盟だ。

 戦略の中核は、「敵の分断」だが、バイデンは逆方向で敵を集結させてしまった。確かにキッシンジャーが言ったと思うが、中露イランの3か国が連合を組んだら、米国にとって悪夢になると。今は大悪夢だ。トランプが2000年に当選したら、今の世界は違っていただろう。ウクライナ戦争もなかったし、米国の「連露抗中」で中露分断が進み、中国は今の勢いもなかっただろう。

 だから、私が言っている。バイデンは親中派だ。

● 教訓?

 もし日本が潰れたら、それが教訓として歴史の教科書に書かれるだろうという人がいる。それほど感傷的な書き方にならない。教科書は勝者が書くものだから、陳腐日本が潰れ、新生日本が誕生したというふうに書かれ、後世はそう学ぶだろう。

 新しい統治者は、国家崩壊の責任を前任統治者に押し付け、国民は無罪だというだろう。すると、愚民はその気になり、またもやニョロニョロと毒の芽を生やす。歴史は繰り返すというが、根底にあるのは愚民根性が不変であることだ。

 独裁も民主も、大衆は常に愚民であることは変わらない。教訓から学ぶことはあるまい。

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