能登半島地震と天罰論

 能登半島地震。元日を襲った激しい揺れと津波は、何を意味するのか?

 都知事時代の石原慎太郎氏は東日本巨大地震に関して「津波は天罰、我欲を洗い落とす必要」と発言し、批判されたことを思い出す。氏の発言の真意を理解もせず批判するのは知性のなさ、民度の低さの表れにほかならない。

 罪とは、決して被災地の被災者を指していたわけではない。われわれ日本人全員が欲望の暴走を許した罪に対して、被災地の人々は代わりに、贖罪がなされたといってもよかろう。『新約聖書』では、イエス・キリストが自分を十字架で犠牲として捧げることによって、贖罪がなされたと説かれていた。それを考えれば、理解できるだろう。

 何でも科学至上の時代。天罰とかそういう唯心論らしきものは一蹴されかねない。数千年の歴史のなか、産業革命から始まった近代科学史はわずか300年しかない。その300年の歴史だけで、われわれは自然への畏怖の念を失い、人類は傲慢な生物になった。

 産業革命の先駆者だった欧米諸国が自ずと世界のリーダーにもなった。軍事を含めて科学技術を駆使して欧米列強が地球上の資源を奪い、他国民を搾取し、莫大な既得権益を手に入れた。原初的資本蓄積を終えた欧米列強は、他国の追い上げを妨害し始め、欧米中心の世界秩序を死守しようとしている。

 しかし、残念ながら、この本質を見抜いた日本人はわずかしかいない。

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