● アンワル氏は親中か?
「中国の台頭を抑えることは逆効果にしかならない」。マレーシアのアンワル首相は3月7日、アジア太平洋地域における中国の軍事的・経済的台頭を阻止しないよう、関係国に警告した。氏がオーストラリアで講演した際に、次のように述べた――。
「中国は、歴史的合法な地位を回復しようとしている。これを阻止しようとする行為は敵視されるだろう。西側諸国は『恐中症』にかかっており、マレーシアと中国の間には何の問題もなく、西側諸国は馬中の友好関係の発展を妨げるべきではない」
実際、アンワル氏は以前にも何度か、アメリカや西側諸国が「恐中症」を煽っていると批判し、大国間の対立がマレーシアの生存と発展の余地を狭めていると主張している。アンワル氏は2月のフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、「なぜわれわれが特定の利益団体に縛られなければならないのか。これは中国に対する強い偏見であり、われわれは、この種の『恐中症』には与しない」と、米国・西側を批判した。
「親中ではないか」と聞かれたアンワル首相は、マレーシアは主権を持つ独立国として、自国の外交政策を決定する権利があると強調し、政府は国と国民の利益のために決定を下すのだと答えた。
● 経済的利益を選ぶ
「どちらにつくか」。英語で「Pick a side」というが、米国が提示した民主か独裁という二者択一は、罠である。イデオロギーの選択肢に「価値観外交」という美名をつけて、米中の「派閥選び」を各国に強要する。
いわゆる「価値観外交」は、真っ赤な嘘。「価値観外交」の理解を日本人が間違えている。決して「民主」や「独裁」ととったイデオロギー次元の価値ではない。純然たる経済的利益次元の価値である。アメリカは常にダブル・スタンダードで、非民主主義国とも裏で関係を強化したり、反対に民主主義国を敵視して圧力をかけたりすることもある。様々な組み合わせをその時その時に判断すると。経済的利益次第という価値観外交である。
民主対独裁という価値観の対立・戦いなら、日米欧・西側諸国は、中国と断交して台湾と国交樹立するべきだろう。なぜ、できないのか?「価値観外交」の「価値」は、「経済的利益」の価値だからだ。
経済的利益が自由・民主主義の価値を凌駕する。日米西側諸国も漏れなくそうだったのではないか。価値観外交は、嘘ではない。ただその価値はイデオロギーではなく、あくまでも経済的利益至上、国益至上である。アンワル氏が選んだ「自国利益」という決定は、至極真っ当である。





