● 中国の時代に備えて
国際政治学者・伊藤貫氏の予測――。「米国一極支配時代の終焉、日本は5~15年以内に滅びて、中国に吸収される」。論理的な文脈として、それしかない。分かりやすく言えば、米国は西太平洋から引き揚げ、入れ替わりに中国勢力が地域を支配する。そして新時代を敗者として迎えるのは、日本。「中国に吸収される」とは、国土占領ではない。文化、教育、イデオロギーといった面における同化を言っている。
日本人個人レベルでは、最後まで米国追随に徹して「USA万歳三唱」で玉砕するのも自由だが、そうでない人は1日も早く「中国の時代」に備えて準備をすぐにでも始めたほうが得だ。大人は、デフォルト設定された思考回路の変更が大変だろうが、やるかやらないかで格差が出るだろう。
具体的に何を準備したらいいかというと、戦前戦中の鬼畜米英から戦後の親米一辺倒への転換、その歴史を精読して抽象すれば、ヒントが見えてくる。子供は、中国語の勉強は必須だ。ちなみにマレーシアの華人学校にマレー系生徒がどんどん増えている。中国語の習得だ。
準備で、何をすればいいかという前に、「何をしないか」をはっきりさせたほうがいい。まずは、反中言論は避けたほうがいい。よほど嫌悪感があってガス抜きしないと気が済まない人や、反中をビジネスとする人なら、仕方ないかもしれないが、一般人は、反中言論は慎んだほうが良かろう。SNSなどでは一発リストアップされるからだ。
私が注意深くウォッチしているが、最近、気のせいか、一部の論客やジャーナリストの反中言論はいくぶん軟化しているようにも思える。意図的に「転向」の準備期間に入っているかどうか定かではないが。有名人なら、急転向が評価されるので、必ずしも自分に不利とは限らない。ただその無節操さは見透かされた時点で、人格が見下されるだろう。
2035~2040年頃の中国勢力圏(予想)赤線圏内――。アジア全域、中東・アフリカほぼ全域、ユーラシア大陸、北極航路、南太平洋ほぼ全域(グラム等除外)、南米ほぼ全域、グリーンランドの一部、欧州の一部、中米の一部。北米除外。

● 米中の関係
中国に工場をこぞって持って行き、グローバル化をやり出したのは、アメリカ。今度は、中国よお前は工場だらけで石炭をやりすぎて地球を汚したと文句を言うのも、アメリカ。続いて、脱炭素・グリーン産業をやれって言い出したのは、アメリカ。今度は、中国よお前はグリーン製品をやり過ぎたと文句を言うのも、また、アメリカ。中国を使ってソ連をやっつけようと台湾と断交して中国と国交樹立したのは、アメリカ。今度は、台湾を使って中国をやっつけようとするのは、またまた、アメリカ。
アメリカは凶悪な、非論理的な子供だ。マフィア化、テロ化したジャイアンだ。
● トヨタがBYDの技術を採用
5月9日、「トヨタがBYDの技術を採用するPHEVを投入する計画だ」と中国の地元メディア「財経」が報じ、中国自動車業界で大きな波紋を呼んでいる。「中国はしょせん日本の技術を使っている」とばかり騒ぐ人には、衝撃的なニュースだ。私がこれをフェイスブックでシェアしたら、一部コメントが寄せられたので、紹介する――。
「性能、価格で総合的に判断したら、現状、中国製品の方が格段に良い。日本で同じ性能のものを作ろうと思ったら、1桁、2桁違う金額が出てくると思います。技術立国という幻想に酔いしれているから今の日本の状況を招いたと猛省して欲しい」
「技術立国させるならすればいいのだが、実態は話になりません。まず技術は単なる営業の手段に過ぎないのであって、技術があれば儲かるのではないのです。通産省が補助でやった電子産業の商品化は全てが失敗しています。全部、海外企業が市場を席巻して日本企業は一社も生き残っていません。技術は単なる手段であり、売れる商品を作り、収益を上げる仕組みも能力も作っていないのですから」
「私は提供しているシステムの一部は中国から輸入しています。コスト、基本機能、使い心地の点で最も良い(というか日本で作れない)からです。しかも改善に余念がなく、どんどん改良品を作ってくれる点が非常にありがたいのです」
中国人は日本人の技術ではなく、昔の日本人の精神を盗んだのだ。日本人はアメリカに精神的に去勢されたのだ。中国人にではなく、アメリカ人にやられたのだ。
● 考えない日本人と欧米人
国際政治学者の伊藤貫氏が西田昌司氏との対談のなかでこう言った(主旨)――。「ちゃんとものを考える日本人は、明治30年の時代にいた。その人たちのお陰で、戦後日本の復興と経済成長ができた。戦後の日本人は、ものを考える力が奪われた」。深く同意。アメリカ主導のいわゆる民主主義は、全くの騙しである。それを見破る力を日本人に持たれたら困るから、「ものを考える人が損する」仕組みを作った。それが大成功したのだ。
伊藤氏いわく「ワシントン駐在のエリート日本人は、自分で情報を取らないし、考えもしない。ニューヨークタイムズやワシントンポストを読んで、雇った米国人から情報を取っている。アメリカ政府がこういう情報を日本人に流しとけという情報を鵜呑みにして、国家政策を決めている」。スパイを潜り込ませて本当の情報を取っている某大国には勝ち目がない。
日本人は、考えない。今の日本では、「親中」といえば、即「反日」のレッテルを張られる。特に似非保守の間では、「反中」は符号だけでなく、ポリコレにもなっている。戦中の日本は、「鬼畜米英」一色だった。「親米」など言い出せる人は皆無。しかし、戦後になってみると、なぜか一夜して「親米」一辺倒に傾いた。
これは決して、日本人の無節操さではない。日本人大衆は深く考えずに、守ってくれる「主人」にだけ忠誠を誓う。そう教育されてきた。その主人は誰であれ、関係ない。不適切なたとえだが、忠犬的な忠誠心に似ている。善悪はなし。主人が米国から中国に変わった時点で、おそらくまたもや中国に一辺倒するだろう。ただ、これは世界では「忠誠心」よりも「無節操」として見下される。
新主人への移行は一夜でなく、徐々に徐々に、主導権をもってシフトしていく形態が望ましい。アジアの親米国は現在、日本、台湾、韓国とフィリピンの4か国。台湾は中華同族だから、問題なく移行できる。韓国とフィリピンは、政権が変われば、いつでも親中に変わる。頑固な反中親米国家は、日本だけだ。米国の敗退がないと、日本人は変わろうとしない。最後の最後まで米国の忠犬役に徹するわけだ。この点は、中国もしっかり理解している。だから、あえて「反日」を最近しない。日本総崩れの日を待って、一気に突っ込んでくるのだ。
補足になるが、「ものを考える人が損する」仕組みを簡単に説明しよう。それは日本だけでなく、世界にも通用する。例えば、世界のLGBTの割合は約8%。年々増加している理由は、LGBT保護の法的な整備が進んでいることにある。民主主義制度のスローガンは、「少数弱者」保護。だから、少数が増加する。しかし、意見の「少数弱者」は、つまりものを考える人は絶対に保護しない。それどころか、叩き潰す。
考えないのは日本人だけではない。岸田首相への批判が多いが、馬鹿な政治家は何も日本だけではない。アメリカのバイデンはもう論外。ドイツのショルツ首相は三流弁護士出身。フランスのマクロン大統領もイギリスのスナク首相も、投資銀行マネージャー出身。カナダのトルドー首相はイケメン芸能人…、誰も深く考えることができないただの凡人。浅いという一言。
プーチンや習近平と比べて、次元が違いすぎる。金正恩にも及ばない。繰り返しているが、日米欧の民主主義国家では、思考力をもたない大衆からは、深い思考力のある優れた政治家が選ばれない。なぜなら、大衆から理解されないからだ。それだけの話。
● 弱者救済の原罪
「原罪論」は、キリスト教の根本教理の1つで、最初の人間であるアダムとイブが神に背いて禁断の木の実を食べたという罪が、子孫である人間全体に及ぶとする教説。一人ひとりの人間は生まれたその時から、原罪をもっていると。罪をもった人間はもはや、「正義」を語る立場にない。
しかし、今の世界を見渡して、キリスト教の国々の政治家やメディアから一般人まで、堂々と自分だけの「正義」を振りかざして、しかも異なる文明である他人に押し付けている。おかしくないのか。俗世には「正義」が存在しないにもかかわらず、公然と自己欺瞞、偽善と独善に満ちた行為を行っているのだ。
原罪とは何か。まさにと自己欺瞞、偽善と独善である。キリスト教の教説は間違っていない。例を挙げよう。
判官贔屓。① 弱者同情、いわゆる惻隠の情は、人間本来の感情であり、善の一面だ。② 感情発露、「可哀想」「気の毒」と口に出すのは、他人に自分の善を見せつけるという意味で、既に偽善に転じている。③ 弱者救済、自分の力や富ならまだしも、他人や公共の資源を使うなら、これは完全なる偽善、ないし悪だ。
弱者救済は、難しい作業だ。まず、弱者は本物の弱者かの判断。本人の努力の意思と行動の有無など、どう見極めるか。次に、「授人以魚 不如授人以漁」(老子)、飢えている人に魚を与えるか、魚の釣り方を教えるかという問題がある。弱者に優しいという人、特に日本人、偽善の場合が非常に多い。弱者同情と救済支援は、まず勉強してからやれ!
補足する。「可哀想」というのは、相手を見下しているという意味が込められていることも多い。見下したうえで、相対的に自分は相手より上であると意識し、そんな自分に安心するという、いかに日本人的な心理である。




