民主主義は死んだ、アメリカは0.1%の特権階級が牛耳る独裁国家だ

 国際政治アナリスト・政治思想家伊藤貫先生ほど単純明快に本質を抉り出せる学者は、日本国内にいない。氏の一部の論説(主旨)を紹介する――。

 ここ30年、6~9割(統計によって異なる)のアメリカ国民の実質生活水準は、低下している。これに対してトップ0.1%ないし0.01%の超富裕層・特権階級が数百億円、数千億円、数兆や数十兆円の巨額の富をもっている。数十兆円をもっている人はなお毎年数兆円規模の富が増え続けている。

 これに対して一般の米国人で数十万円程度の財産も持たない人がたくさんいる。アメリカの貧富の格差は、世界一でかつ異常な状態になっている。この格差は、政治家と財界の有力者たちと結託して故意に意図的に作られたものである。

 アメリカのほとんどの税金はミドル層から取っている。労働生産性が上がっても、賃上げをしないし、お金はミドル層以下に回ってこず、どんどん特権階級に吸い取られている。一方、財界は合法的にロビー活動によって国会議員、政治家を買収し、巧妙に自分たちに有利な法律を作って、巨額の富に比例しない程度の少額の税金しか払っていない。全く払わない人もいる。

 トップ0.1%ないし0.01%の特権階級がアメリカ全国民所得の何パーセントを取っているのか。レーガン政権時代の20%が、クリントン政権45%、ブッシュ政権65%、オバマ政権下では95%へ急上昇し、以降は横ばいで95%前後に推移している。

 特権階級がアメリカの政策を決めているだけでなく、マスコミ、シンクタンクと政治資金ネットワークを掌握している。そのなかイスラエル系統が大半を占めている。お金のことだけでなく、アメリカの戦争政策まで支配している。そこに軍産複合体も入ってきて結託して戦争を仕掛けて大儲けしている。

 財界による政治支配は、政治献金によって支えられている。2000年の米大統領選では、1兆8000億円から2兆円の政治資金が動いたが、アメリカの政治資金規制法で管理されている資金は、全体のわずか5%しかない。残りの95%は資金規制法管轄外に置かれており、受けたい人はもらいたい放題、出したい人は出したい放題状態だ。NGO経由(501(c)法律)なら誰でも匿名で無制限にお金を出せるので、そのお金はどんどん政治に流れ込む。

 今のアメリカは、もう民主主義ではない。見せかけの民主主義であり、トップ0.1%の特権階級が政治を牛耳り、その0.1%にますます権力と富が集中する独裁国家になった。これはオリガーキー(Oligarchy=寡頭制=ディープステート(DS))という。寡頭制とは、国を支配する権力が少数者集団に握られている独裁制の一種である。(以上、主旨引用)

 この通り、アメリカは、働かされ、搾取され、それでも民主主義の主人であると思い込んでいる奴隷たちの国だ。アメリカの民主主義は真っ赤な嘘。アメリカは独裁国家である。日本はアメリカの政治・経済政策の猿真似をしていると、最終的には表面的に民主主義だが、中身が寡頭制、独裁制度に変わる。トップ0.1%ないし0.01%の特権階級が支配する独裁国家になる。
 
 民主主義はとっく資本主義にハイジャックされている。民主主義は、幻であり、世には独裁政治しか存在し得ない。

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